大学を卒業しても作家への夢が諦めきれず、フリーターをしているトーマス・ウェブ(カラム・ターナー)。
出版社社長の父(ピアース・ブロスナン)と精神的に不安定な母(シンシア・ニクソン)の反対を押し切り、
マンハッタンの高級地区にある実家を出て、ちょっと廃れた地区にあるアパートで一人暮らしを始めました。
恋しい人はいますけど、彼女には遠距離恋愛中の彼がいてトーマスのことはお友達としか思っていません。
将来への不安に加えて実らない恋に、心の中では不安と不満でいっぱいです。
そんな中、トーマスは偶然にも父の浮気を知ってショックを受けてしまいます。
そして、彼は父の浮気相手ジョハンナ(ケイト・ベッキンセイル)の後を密かに尾行し始めました。
それにしても、何気なさそうな話なのに胸にじんわりと響く作品ですね。
ちょっと奥手な雰囲気を主人公トーマスが身近な存在に感じられたところが良かったです。
恋への憧れ。家族への愛と葛藤。そして、自分の夢へ向かうための勇気。
まだ大人になりきれない時期に人生で誰もが通過するような心の揺らぎを、トーマスを通して描いていました。
また、テーマのひとつに“許し”があったと思います。
恋人だから許せないこと。本気の愛だったから許せないこと。そして、家族だから許せること。
様々な人間関係が明らかになるにつれて、家族の大きな問題が浮上していく展開に引き込まれつつ、
こういうことは許せないかな…などと自分を思い返しながら観ていました。
あと、俳優陣がみんな素晴らしい演技を見せてくれました。
特に主人公に助言を与える謎の隣人役のジェフ・ブリッジスはさすがの存在感でした。
最初は明らかになる事実に混乱していたトーマスが、やがて大きな愛で母を癒せるくらいの
成長を遂げられたことにほっとしました。
観終った時、ひとつの映画を観ているだけなのに、様々なことを思い出したなあと感じた1本です。
監督:マーク・ウェブ 出演:カラム・ターナー ジェフ・ブリッジス ケイト・ベッキンセイル ピアース・ブロスナン シンシア・ニクソン カーシー・クレモンズ
2017年 アメリカ 原題:THE ONLY LIVING BOY IN NEW YORK
(20180505)
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