出版社のオーナーのアングストローム(ランベール・ウィルソン)はイベントで
世界的なベストセラー三部作の最終巻を全世界同時に出版すると発表しました。
間もなく専門語学の違う9人の翻訳家たちが各国から集められます。
彼らは都会から離れた田舎にある豪邸に移送させられ、携帯電話や電子機器など
外に連絡できるものを全て没収されます。
そしてそのまま豪邸の地下にある広大な地下室で、
9人揃って監視されながら翻訳作業に入ることになりました。
知らない者同士だった9人の翻訳家たちは居心地が悪そうでしたけど次第に打ち解けていきます。
そして、ようやく仲間同士笑顔を見せるようになった時、アングストロームの恐れていた
原稿のネット流出という事件が発生しました。
それにしても、久々に緊張感のある本格派のサスペンスを観ました。
情報漏洩が無いように、各国の翻訳家たちを集めて秘密の地下室に隔離して翻訳させたというのは
実際に『インフェルノ』翻訳の時にあった出来事だそうです。
そのエピソードを聞いた監督さんが脚本から創り上げた作品で、出演者も役者揃いでした。
中でもやっぱり目立つのはオルガ・キュリレンコですね。
白いドレスで小説のヒロインのキャラクターになりきって翻訳に取り組んでいます。
ちょっとエキセントリックなところも彼女の美しさには合っている気がしました。
あと、キーになる若い翻訳家を演じたアレックス・ロウザーも上手かったです。
私はあまり知らないイギリスの役者さんですけど、また出演作を観る機会があったら注目したいです。
でも一番興味深かったのは、やっぱりストーリーです。
何が本当で何が嘘なのか。
一体、現実には何が起こっているのだろうとハラハラする展開に引き込まれました。
やがて全てが明らかになった時、なるほど!と納得でした。
罪を明らかにして相手を追い詰めていく計画の周到さに驚きました。
観終わった時、主人公に心の平和は来るのかなとちょっと考えた1本です。
監督:レジス・ロワンサル 出演:ランベール・ウィルソン オルガ・キュリレンコ リッカルド・スカマルチョ シセ・バベット・クヌッセン エドゥアルド・ノリエガ アレックス・ロウザー アンナ・マリア・シュトルム フレデリック・チョー マリア・レイチ マノリス・マヴロマタキス サラ・ジロドー パトリック・ボーショー
2019年 フランス=ベルギー 原題:Les traducteurs /THE TRANSLATORS
(20200129)
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