『リトル・ガール』7歳のサシャをメインに心と体の性の不一致に悩む子供と家族の姿を描いたドキュメンタリー映画です。
少年の身体の中に少女の心を持つサシャは両親や兄弟たちに愛されながら育ちました。
サシャには女性として生きたいという願いがあり、両親は理解して認めています。
医者に診断書も書いてもらって学校に提出しますけど、学校は話し合いの場を設けてくれません。
また、サシャの通っているバレエ教室では
男子としてでなければ認めてもらえずに、最終的には教室を追い出されてしまいました。
無理解な大人たちに出会う度につい涙をこぼしてしまうサシャは本当に可愛らしい子です。
その涙を観ているだけで、どうか認めてあげてよと思ってしまいます(T_T)
あと、サシャの思う通りに生きて欲しいと願い行動を起こす両親が素晴らしいなと感じました。
身体とは違う性を選ぶという選択も、身体と同じ性を選ぶという選択も
これからの心の変化を考えてどちらも出来るように考慮しながら成長できるのです。
この両親と医者の理解があったからこそ、サシャは素直な自分で生きようと思えたのかも知れませんね。
サシャの未来にはまだまだ困難が待ち受けているのかも知れませんけど、
ちゃんと理解してくれている人がそばに居てくれたら、きっと大丈夫だと感じました。
観終わった時、未来のサシャに逢いたいなと思うのと同時に、
どうか自分自身を迷わないでねと願った1本です。
監督:セバスチャン・リフシッツ
2020年 フランス 原題:Little Girl/Petite Fille
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東京国際映画祭の公式サイトはこちらへ https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3308YTT04『マリアの旅』ベルギーで平穏な日常を送っていた高齢の女性がスペインまでの旅に出るロード・ムービーです。
スペイン出身で敬虔な高齢の主婦・マリアはベルギーで夫と平凡な日々を過ごしていました。
ある日、入院することになったマリアは同室の若くてキュートな女性・ベロニカと知り合います。
世代の違いからベロニカに苦手意識の遭ったマリアでしたけど、
彼女もスペイン出身と聞いたことで少し親近感を持ちます。
やがてベロニカの行動に慣れて来たマリアは、自分世代では考えられないような
自由で明るいベロニカのキャラクターに次第に好感を持ち始めます。
でも、お互いに仲良くなって間もなく、ベロニカは心臓疾患のために亡くなってしまいました。
その後、マリアはベロニカの母親が行方不明で連絡が取れないということを知ります。
引き取り手がいない場合、遺灰が捨てられてしまうと聞いたマリアは
自分がベロニカの遺灰を引き受けて母親を探そうと考えます。
そして、反対する夫を置いて遺灰と共にスペインへ旅立ちました。
観終わった時は、マリアの心の開放は分かるけど何となくピンと来ないなとちょっと思いました。
でも、あとで監督さんの話をネットで聴いて納得しました。
年齢的にマリアの世代はフランコ独裁政権下の教育を受けた人で
人生の選択は 女性=良妻賢母 しかなかったのですね。
同室になったベロニカの開放的な行動に
女性もそういう生き方が出来るのかと改めて知ったのだろうなと思いました。
輝くような若さと美しさを持ち、人生はこれからというベロニカの死は
マリアには本当にショックだったと思いますし、せめて母親に遺灰を渡したいと思うのは
自分も子供を持つ母としての親心だったかも知れませんね。
旅に出たマリアがベロニカに関わる若者たちと出会いながら、少しずつ心を解きほぐしていく展開は
観ていて楽しかったです。
出会った人がみんないい人だったのも嬉しかったです。
映画祭で最後に選んで観た映画が、ちょっとほっとするような作品で良かったなと思った1本です(^^)
監督:ダビッド・マルティン・デ・ロス・サントス 出演:ペトラ・マルティネス アンナ・カスティーリョ フローリン・ピエルジク・Jr.
2020年 スペイン 原題:That Was Life/La vida era eso
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東京国際映画祭の公式サイトはこちらへ https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP30