ベストセラーを原作に映画化した作品です。未読のまま観てみました。
人の弱さと哀しさ、そして愛しさを優しく描いた群像劇でした。

シンヤ(岡田准一)は観光バスの運転手。今日も勤務で都内を巡るバスを運転していた。
彼は小遣い帳をつけていて、今日は上司にそれを報告した。
実はギャンブルによる借金がかさんでいるのを知った上司が彼に金を貸してくれていたのだ。
上司は彼の努力を認め、彼が渡そうとした今月の返済分を金融業者へ渡すように言う。
しかし、彼は帰り道にふとパチンコ屋に立ち止まると、誘惑に負けて店内へ向かっていった…

シンヤを中心とした9人が少しずつすれ違いながら物語を展開していました。

35年前。しがないストリップ劇場で、まったくお客に受けないお笑い芸を見せている雷太(伊藤淳史)。
上京して雷太の元に押しかけ、彼とコンビを組んだ鳴子(宮崎あおい)。
現代。ギャンブルで借金取りに追われるシンヤ(岡田准一)。
昔、母とお笑いのコンビを組んでいた雷太を探す鳴子の娘寿子(宮崎あおい)。
大ぼら吹きで有名な人気者のホームレス(西田敏行)。
そのホームレスの佇まいに憧れてプチホームレスになるサラリーマン(三浦友和)。
その他、異色のストリッパー、売れないアイドル、売れないアイドルの追っかけをするオタクなど
日の当たらないところにいる人々の生き様を描いています。
そんな35年前と現代の人々がクロスしながら繋がっていく様子が面白かったです。

それにしても役者が揃ってしました~
彼らの演技を観ているだけでも満足!という感じです。
中でも印象的だったのは笑顔。
宮崎あおいさん演じる鳴子の幸せそうな明るい笑顔と
岡田准一さん演じるシンヤがパチンコ屋に入る前に見せた弱さとずるさをない交ぜにしたような笑顔。
その二つの表情は対照的で、そのまま彼らの人生を映し出しているようでした。
また、三浦友和さんと西田敏行さんはやっぱり上手かったです(^^)

人は弱いものだけど、誰かと繋がっていればいつしか幸せになれる気がするなあと
彼らの見せてくれた人生のひとコマに、ちょっとほっこりした気持ちになった1本です。

監督:平川雄一朗 出演:岡田准一 宮崎あおい 伊藤淳史 三浦友和 西田敏行
2008年製作
(080128)