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トゥヤーの結婚 [た行]

2007年ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した作品です。
主人公の大らかな逞しさと純粋な想いが静かに伝わってくるような物語でした。

中国の北にある内モンゴル自治区で細々と遊牧の生活をしているトゥヤー(ユー・ナン)。
彼女の夫バータルは事故により歩けなくなっているため、一家の支えはトゥヤーだけだ。
しかし、トゥヤーも遊牧生活の重労働により腰を痛めてしまう。
幼い二人の子と働けない夫を抱えて自分も動けなくなってしまったら、一家で路頭に迷ってしまう。
義姉からの勧めもあって、彼女は愛するバータルと離婚し
自分たちを養える人と再婚することを決意する。
ただし、彼女の出した条件は子供二人に加えてバータルも一緒に嫁ぐことだった…

彼女の意志の強さと愛の深さには心を動かされました。

水汲みに1日約30キロも歩き、遊牧をしながら羊と暮らす日々。
それでもトゥヤーは黙々と働いています。
彼女にとっては家族一緒に暮らせることが一番の幸せだったのです。
辛いとは言わないですけど、食事をしながら疲れ果てて眠ってしまうほどトゥヤーの日々は過酷でした。
働けないバータルはトゥヤーを愛しているからこそ、彼女と別れようと考えます。
でも、互いに深く愛し合っていることを分かっているトゥヤーは
再婚後もバータルと一緒に暮らそうと考えるのです。
それは、相手がどんなに金持ちであろうと譲ることの出来ない絶対条件でした。
そして、それこそが彼女が幸せになるための絶対条件でもありました。

それにしてもトゥヤーを演じたユー・ナンはカッコ良かったです。
らくだや馬を乗りこなし、透明な焼酎をくいっと飲み干すことが出来るトゥヤーに
彼女の真っ直ぐな瞳はぴったりでした。
また、遊牧民の夫バータルや人の良い隣人センゲーは現地の人をスカウトしたそうです。
彼らの素朴な佇まいがそのまま画面から伝わってきました。

厳しい旱魃にさらされている内モンゴルの風景と、消えつつある遊牧民の生活を見ながら
彼女のような強さはこの土地から生まれてくるのだろうなあとしみじみと感じた1本です。

監督:ワン・チュアンアン 出演:ユー・ナン バータル センゲー
2006年製作 中国 原題:TUYA'S MARRIAGE/図雅的婚事
(080201)

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2月23日以降の予定です。


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たいちさん

このような結婚が現実にあることに驚きました。モンゴルの経済状態や歴史・風土を知らないと、理解できないのかも知れませんね。
by たいちさん (2008-02-02 16:01) 

non_0101

xml_xslさんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2008-02-03 00:30) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは!かなりびっくりな結婚でしたけど、映画を観ていると
その選択もありなのね~と納得させられるようなところがありました。
そういうところは、ちょっと面白かったです☆
by non_0101 (2008-02-03 00:34) 

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