“納棺師”という職業を通して様々な人の人生を優しい視線で描いた作品です。
家族の絆について、しみじみと考えさせられました。

幼い頃から目指していた夢のチェロ奏者になった大悟(本木雅弘)。
だが、これからという時、楽団は財政難のために解散してしまった。
自分の能力では新たな行き先は見つからないと悩んだ挙句、大悟は故郷へ帰ることにする。
ウェブデザイナーの妻・美香(広末涼子)も笑顔で彼についてきた。
故郷の山形で亡き母の遺した家に住み始めた大悟は、仕事探しを始める。
ふと目に留まった“旅のお手伝い”という広告に惹かれ“NKエージェント”を訪ねた彼は
その会社に違和感を覚える。
よく確認してみると、そこは旅行代理店ではなくて、納棺を執り行う会社だった…

納棺師という職業を初めて知りました。

勘違いと成り行きで納棺師になってしまった主人公。
彼には両親はいません。母は彼が外国にいる時に亡くなり、
父は彼が幼い頃に浮気をして家を出ていったきりで、顔ももう覚えていません。
そんな家族の縁に薄い彼が納棺師として遺族たちと対面していく中で
その心の痛みや哀しみと共に、納棺師という役目の意義を感じていきます。
故人を家族たちにどれだけ安らかに見送らせるかは納棺師の腕次第なのです。

そんな彼が仕事に遣り甲斐を感じて来たある日、この仕事には偏見の目もあるということを知ります。
人の死を商売にしていると言うことで、忌み嫌われているのです。
彼は仕事を続けるか悩みます。
でも、彼は人を清めて見送る手助けをするという納棺師の仕事から離れられなくなっていました…

それにしても役者さんたちがみんな良かったです~
主人公役の本木雅弘さんの細やかで本格的な手際も凄かったですけど、
脇を固める社長役の山崎努さんや同僚役の余貴美子さん、銭湯仲間の笹野高史さんなど
多くの人が心に残るシーンを見せてくれました(T_T)
特に山崎努さんはちょっと癖のある人物を演じると本当に上手いですね。

納棺師として最高の仕事が出来た主人公のこれからの未来に幸せあれと願った1本です。



監督:滝田洋二郎 出演:本木雅弘 山崎努 広末涼子 余貴美子 笹野高史
2008年 日本
(080811)

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は9月13日以降の予定です。