“家族のピンチ!パリ郊外の強くてやさしい肝っ玉母さん奮闘記”という解説だけで
楽しいのかなあと挑戦してみました。
でも、予想以上のハードな展開にびっくりしてしまいました~!

いつも苦労しているソニア(フェリシテ・ウワシー)にとって歓びの日がやって来た。
今日は長女の結婚式!美容師の親友にも綺麗にしてあげると言われ、美容院へと出向いてきた。
だが、セットに取り掛かる前に携帯電話が鳴り始めた。
悪い仲間に入っている長男がドラッグの所持で警察に逮捕されてしまったのだ。
解決方法は何かあるはず…と警察署へ出向くと、
今日はこの子の姉の結婚式だからと担当者を説得し、何とか息子を釈放してもらった。
ホッとしたのも束の間、今度は博打好きな夫が娘の結婚式代金を競馬ですったと言い始める。
おまけに夫は一家の主な収入であるコインランドリーの契約更新資金までも使ってしまったのだ。
それを知った長男は夫と殴りあいの大喧嘩し、夫は怒りながら部屋へこもってしまう。
もうこの家は終わりだと絶望するソニアだったが、目の前に迫る結婚式はなんとか乗り切りたいと思っていた。
だが、ふとベッドに寝ている夫の様子を伺うと、夫は息絶えていた…

二男二女を持つお母さんの苦労は、本当に尽きませんでした~

都市郊外の公共住宅が舞台のドラマです。
背景には、現在の公共住宅にはお年寄りと移民である黒人たちが多く住んでいるという状況があるらしいです。
彼らはどちらかと言えば社会から見捨てられた人たちです。
主人公のソニアもコインランドリー経営の傍ら、老人の介護ヘルパーの仕事もしています。
彼女は老人たちに好かれています。あなたが白人だったら養女にするのにと言ってくれる人もいます。
でも結局、彼女にとってはひたすら仕事をしている日々が続きます。

そんな中で起きた夫の死をきっかけに、アパートの隣人である孤独な老人と知り合います。
始めは緊急事態&親切心で出会った二人なのですけど、
この老人との交流が段々と微妙な雰囲気になってきて、うわ~と思いながら観ていました。
でも最後には、あまりにも寂しい人生を送ってきた老人が
主人公ソニアの母性とも言えるような美しさと優しさに出会った時に、
ようなく深い孤独から開放されたのね…と思えるようになりました(^^ゞ

それにしてもソニアを演じたフェリシテ・ウワシーは頑張っていました☆
私は初めて観た人なのですけど、長年、映画や舞台で活躍されている女優さんらしいです。
何歳なのかな~意外に若いのかな~と思っていたら、
ティーチインで17歳の息子がいると言っていて、ちょっとびっくりでした。
息子の反抗期で苦労したなんて話もしていて、この映画にはぴったりの役者さんでした(^^ゞ

予想以上にブラックな展開に、やっぱりフランス映画は一筋縄では行かないなあ…と感じてしまった1本です。



監督:フランソワ・デュペイロン 出演:フェリシテ・ウワシー、クロード・リッシュ、エリザベス・オポン
2008年 フランス 原題:Aide-toi et le ciel t'aidera
(20081019)

追伸
この映画は東京国際映画祭で観ました。公開予定は未定です。