大学を休学してハワイ島にやって来たレオ(岡田将生)は
小さな村ホノカアの映画館で映写技師見習いとして住み込みで働き始めた。
ある日、店番をしていたエデリ(松坂慶子)に、ビーさん(倍賞千恵子)への届け物を頼まれる。
ビーの家に行ったレオは、入り口から呼びかけるが返事がない。
仕方なく荷物を置くために無人の台所へと入った彼は
美味しそうな匂いがコンロの上にある鍋から漂ってくるのに気付いた。
つい手を伸ばして味見をしたレオが美味しさに感嘆の声を上げると、彼に向かって飛んでくる物が!
実は彼を物陰からゴム鉄砲で狙っていた人こそビーさんだった…
のんびりした空気の中に、人生が優しい視線で描かれていました。
時間がゆっくりと動いているように感じられる、海と風の村ホノカア。
ここは昔、日本からやって来た人々がいて、漢字は分からなくても日本語の会話は通じる人も多いです。
でも、お年寄りが多いので、どちらかというと若者の村ではありません。
80歳を越えてもいつも明るく元気な日系人コイチさん(喜味こいし)。
ちょっとおちゃめで、絶品の料理やお菓子を作るビーさん。
彼らとの交流はいつもレオに笑顔を与えてくれます。
実は彼らにも密かに哀しみや辛さを抱えています。それは外には見せないものなのです。
レオは笑顔の裏にどんな人生があったのかを気付いていません。
まだ若い彼には周りの人の人生を推し量ることは出来なかったのです。
そして、知り合ってからレオにいつもご馳走を作るようになったビーさんも
誰にでも親切なのではなく、レオだからこそという気持ちになかなか気が付きません。
でも、人々は若いレオを受け入れ、レオも村に溶け込んで暮らしていました。
特にレオとビーさんの交流は可愛くて、観ていて優しい気持ちになりました(^^)
それにしても、心地よい余韻の残る作品でした~
レオを演じた岡田将生さんはとても爽やかですし、倍賞千恵子さんや喜味こいしさんも素敵でした。
受身のレオに人生を教えるように語るビーさんやコイチさんの言葉は、
長い人生を送ってきた倍賞千恵子さんや喜味こいしさん自身の言葉のように感じられました。
レオが恋心を抱くマライアを演じた長谷川潤さんもめちゃくちゃ明るくて可愛かったです。
亡くなった人は風になるという言葉に、この村に暮らす人々の故人への想いを感じた1本です。
監督:真田敦 出演:岡田将生 倍賞千恵子 長谷川潤 喜味こいし 松坂慶子
2009年 日本
(20090314)