ハゲタカ

テレビドラマの時から面白いとドキドキしながら観ていたシリーズです。
グローバルな社会の中で行なわれるマネーゲームと企業買収の物語は今回も激しかったです。

法廷で破れ、日本での活動に嫌気がさした鷲津（大森南朋）はリゾート地で傷心の心を癒していた。
そこへ突然、芝野（柴田恭兵）が訪ねてきた。
現在、芝野は日本を代表するアカマ自動車の役員に迎えられていたが、
そのアカマ自動車に対する動きがおかしいので、何者かが仕掛けてきた時の対処として
鷲津に日本へ戻って来て欲しいと依頼してきたのだ。
その時は芝野の誘いを断った鷲津だったが、やはり気になっていた。
そんな中、劉一華（玉山鉄二）率いるブルー・ウォール・パートナーズという
あまり知られていない投資会社がアカマ自動車へのTOBを仕掛けてきた…

今回も危機に陥る鷲津は冷静なシナリオを描いていました～

かつてハゲタカという名前で忌み嫌われていたファンド企業の鷲津。
彼はその見かけ上の姿とは違っていて日本の将来を憂いながらも
“腐った日本を買い叩く”という信念のもとに厳しい買収を仕掛けていました。
今回、そんな鷲津に挑んでくるのは残留孤児三世という劉一華です。
以前に鷲津と同じホライズン社で働いていた経歴を持つ劉は、今回のTOBの説明を誠実な態度で行ないます。
鷲津はアカマ自動車のホワイトナイトとしてTOBを受けて立つのですけど
好感度が高い彼の姿に加えて高額な公開買付価格の提示に、ブルー・ウォールは圧倒的な立場に立ちました。

あまりの圧倒的な展開に鷲津どうなる？と思っていたのですけど、その後に鷲津が描いたシナリオが凄かったです～
2兆円とか20兆円とか、もう国家予算のような金額が動かされていく中で、敵の狙いが見えてきます。
ブルー・ウォール社の本当の狙い。巨額な資金の出所。見えてこない劉の正体。
それに対して鷲津が描いたシナリオは、テレビシリーズと同じように見応えがありました。

テレビシリーズで活躍していたキャラクターも登場して嬉しかったです。
かつて鷲津と深く関わっている三島由香（栗山千明）や西野治（松田龍平）の活躍も嬉しかったですけど
やっぱり芝野との男らしい会話がいいですね～
大森南朋さんも柴田恭兵さんも本当に味のある男をかっこよく演じていて、一つ一つの言葉が心に響きました。
また、今回登場した劉一華役の玉山鉄二さんもさすがの演技でかっこ良かったです。

サブプライムや派遣問題も描きながら見せていく物語は、明日への希望を語っていました。
日本の象徴である車への憧れを思いながら、日本はどこへ走っていくのかなあと考えてしまった1本です。



監督：大友啓史　出演：大森南朋　玉山鉄二　柴田恭兵　栗山千明　松田龍平　高良健吾
2009年　日本
（20090606）