今年のカンヌ映画祭で話題になった青春群像劇です。
イランのテヘランを舞台にオリジナルのポップ・ミュージックを自由に演奏したいと願いながら
ロンドンでの公演を夢みる若者たちの姿を、素晴らしい音楽と共に映し出していました。
物語は怪我をした人がストレッチャーで病院の廊下を運ばれていくシーンから始まります。
でも詳しい説明は無く直ぐに画面は切り替わって、あるスタジオの風景に移ります。
そのスタジオを訪れていた若い男女が、今スタジオを使っているバンドに
少し時間を譲ってもらえないかと尋ねています。
元々現在のイランではポップな音楽は禁止されています。
そんな中でもインディーズ・ロックを愛する彼らは、自分たちのオリジナル曲を仕上げたいのだと訴え、
いつか自由に音楽を弾ける国へ行きたいと夢を語ります。
そんな彼らの夢と願いを聞いたプロデューサーが、彼らの想いに共感して力になろうと約束します。
プロデューサーの頑張りもあって、あと数日後に夢が叶うと思っていた時、
悲劇の事件が起こってしまいました。
実際の事件をもとに映画いた作品です。
登場人物も一人以外は本人が出演しているそうです。
まるでドキュメンタリーのようにも見えるストーリーと彼らの音楽に乗せて映し出される街の風景に、
自分の好きな音楽を演奏することも出来ない彼らの切実なる想いがひしひしと伝わってきました。
監督さんはこの作品を創り上げた後、イランには居られなくなったそうです。
映画の撮影もゲリラ的に17日間で撮りあげたそうですけど、
そんな短期間で撮ったとは思えないような充実した作品になっていました。
特に出演者たちが創った曲の数々はとてもインパクトがあって、心を揺さぶるものになっていました。
イランの厳しい現状の中で、輝くような素晴らしい音楽を創り上げている彼らの強さに感動でした(^^)
観終わった時、イランに居られなくなってしまったこの監督さんには
せめてこれからも素晴らしい作品をどんどん創って欲しいなあと願った1本です。
監督:バフマン・ゴバディ
2009年 イラン 原題:No One Knows About Persian Cats/Kasi Az Gorbehayeh Irani Khabar Nadareh
(20091125)
追伸
この映画は東京フィルメックスで観ました。公開予定は未定です。