ある8月の暑い日。大根田真男“マ男”(小池徹平)は交差点で気を失い倒れた。
何とか起き上がったマ男は呆然としたまま家に帰ると、無言でパソコンに向かった。
彼はネットで掲示板に入りスレッドを立ち上げると、おもむろに自分の想いを書き始めた。
彼の言葉に対して、書き込みがどんどん入ってくる。
彼は憔悴した青い顔のまま、自分が入社した当日の希望に満ちた朝を思い出していた…
軽快でコミカルな展開の中にもひしひしと心の叫びが伝わってくるような作品でした。
主人公は元ひきこもりでニートだった若者です。
一念発起した彼が学歴社会の中で就職活動に行き詰った挙句、
奇跡的に拾ってくれた会社へ入社します。
そこはシステム系のIT企業です。ただし、IT企業と言ってもピラミッドの最下層。
孫受けの下くらいで、過酷な納期で働かないと仕事がなくなってしまうような会社です。
初めての社会人として希望に満ちていたマ男くんは、初日からどん底に落とされます。
残業も終電も当たり前。経費は落ちない。しかもリーダーはいじめが大好きで横暴。
職場環境としては最悪です。でも、彼はそこしか無いと思って必死に働き続けます。
必死に頑張った甲斐もあり、マ男くんは実力をどんどん付けていきます。
気弱なところは相変わらずですけど、仕事も性格も良い先輩・藤田さん(田辺誠一)の励ましもあり、
こんなブラック会社でも何とかやって行けるかもと思えるようになって来ました。
でも半年後、彼は心身ともに限界を迎えてしまいました。
その理由は… 人間の強さと脆さを感じさせるようななるほど~と思えるものでした(^^ゞ
それにしても、引き込まれてしまいました(^^ゞ
主演の小池徹平さんをはじめとする社員たちのキャラクターがみんな興味深いです。
怒りっぽいけど単細胞で上手く誘導すれば扱い易かったり、
腰巾着で変わり身の速さは天下一品だったり、
どう見ても挙動不審だけれどプログラムの腕は優れものだったり…
派遣社員なのに何故か終始残業している不思議ちゃんも含め、
みんな良く働いているなあと感心してしまいます。
ただし、良い人も嫌な人も腹黒かった人も、実はみんな自分のために仕事をしていました。
そんな彼らが一致団結した時のパワーには、ちょっと感動でした(^^ゞ
観終わった時、爽やかな余韻を感じながらも、
この会社の社長は曲者だなあと微妙に怖かった1本です(^^ゞ
監督:佐藤祐市 出演:小池徹平 田辺誠一 品川祐 池田鉄洋 中村靖日 森本レオ 田中圭
2009年 日本
(20091211)