13歳の少年コンドリ(クリスチャン・ワイグア)の父(フランシスコ・グティエレス)はウユニ塩湖で働いている。
塩湖では塩をブロック状に切り出し、乾かして積み上げていく。
そして、採掘した塩をリャマに積み、周辺の村々へと運んでいくのだ。
昨年まで、年に一度のキャラバンに出かけたのは父と祖父だったが、
今年は父とコンドリの二人で組むことになった。
コンドリにとっては初キャラバン。初めて見る風景や人々に心はワクワクしていた。
3ヶ月以上にも及ぶキャラバンの旅に、
今年はコンドリの友達コーリー(ルイス・ママーニ)も付いていくことになった。
旅の途中にある鉱山で働いているコーリーの父へ会いに行く予定だったのだ。
だが、鉱山に着くとコーリーの父の姿は見あたらなかった…
自然と共に生きている彼らの生活はとても印象的でした~
標高3700mの高地にあるウユニ塩湖とその周辺に住む先住民の暮らしを描いたドラマです。
タイトルの“パチャママ”は大地の母という意味で、彼らはパチャママの恵みを受けて暮らしています。
その生活は純粋でシンプルな反面、死が身近にあるような厳しさもありました。
先祖から受け継がれてきた“塩湖と共に生きる生活”で暮らしているコンドリと父。
二人は毎日塩湖に通って作り上げた塩のブロックを、リャマの群れに乗せてキャラバンに出ます。
彼らが年に一度届ける塩を、周辺に暮らす人々は待ち望んでいます。
基本は物々交換です。行く先々でその土地の特産品と塩を交換していきます。
ただし、コンドリの父はそんな生活も最近は暮らし難くなったと語っています。
とりあえず“なるようになるさ”と前向きに考えながら今年のキャラバンを回っていました。
インパクトがあったのはご先祖様の墓です。
洞窟に墓地があるのですけど、ご先祖様がそのままそこに横たわっていました。
村人たちにとってご先祖様は村を守ってくれる大切な守り神なのです。
コンドリと祖母がお参りするシーンがあるのですけど、何か静かに伝わってくるものがありました。
笑顔と共に語られる挨拶と助け合いの精神は見ていて本当に心が洗われます。
旅の途中でぬかるみにはまっているトラックを見つけると、
父と息子は早速リャマを置いて手伝いに走ります。
きっと盗まれるとかは考えていないのだろうなあと思いながら観ていると、リャマが2頭行方不明に!
その後、村総出で行われたリャマ探しと厳しい結末を観ていると、その厳しさに
それは盗もう何て考えないだろうなあとしみじみ思ってしまいました。
それにしても子供たちの笑顔が可愛かったです~
どんな乗り物が好き?という会話で“汽車”“飛行機”“車”の次に“やっぱりリャマ”と続いた時には
あまりの可愛さに思わず笑ってしまいました(^^ゞ
元気一杯の彼らの笑顔は、やっぱり大自然や家族の愛に包まれて育っているからでしょうか。
観ている方もニコニコしまうような素敵な笑顔ばかりでした(^^)
エンドロールに流れる美しい風景を見つめながら、
この作品を劇場で観ることが出来て良かった~と感じた1本です。
監督:松下俊文 出演:クリスチャン・ワイグア ルイス・ママーニ フランシスコ・グティエレス ファニー・モスケス
2009年 日本/アメリカ/ボリビア 原題:El regalo de la Pachamama
(20100106)