500万石を誇る寺井家の一人娘・以登(北川景子)は幼い頃から父に鍛えられ
並の男では敵わないほどの剣の腕を持っていた。
先日も父に連れられて行った道場で道場にいた男たち全てから勝利を勝ち取った。
満開の桜を前に花見をしていたある日のこと。
彼女に若侍・江口孫四郎(宮尾俊太郎)が声をかけてきた。
彼は藩内随一の剣の使い手で、先日彼女が打ち負かした道場の一員でもあった。
孫四郎は彼女が来た日に自分が道場にいなかったことを残念だと言い
いつか手合わせしたいと笑顔を見せた。
孫四郎は下級武士の三男で彼女の家柄とは釣り合わない間柄だったが、
以登は彼と竹刀を手合わせできるように父(國村隼)に願い出た。
数日後、父は約束通りに孫四郎を呼び、彼女の念願の試合が行われた。
結果は孫四郎が勝ち、彼女は女と侮らずに自分と向き合って試合をしてくれた孫四郎に強い想いを抱く。
だが、以登にも孫四郎にもすでに結ばれる相手が決められていた…
昔ながらの日本の美しさが凝縮されたような作品でした~
江戸時代を舞台に、当時としては珍しく女性が正義のために敵討ちをする物語です。
その女性・以登は剣の腕は立ちますが、女性としての嗜みや教養を持つ美しい女性です。
一度だけ試合をした孫四郎を想いつつも、父の決めた許婚・片桐才助(甲本雅裕)と
結ばれる定めを受け入れようとします。
時間はゆっくりと過ぎ、孫四郎は300万石の名家へ婿入りします。
しかし、彼はひとつの失態により自害へと追い込まれます。
どうしても真相を知りたくなった以登は許婚の才助に依頼して
孫四郎の失態の裏にある陰謀を突き止めていきました。
観始めるとすぐに真っ直ぐに背筋を伸ばした以登に共感していました。
桜の花の儚さを切なく感じ、控えめながらも自分に自身を持って生きている彼女は
凛とした存在感があってカッコいいです。
自分と正面から向き合ってくれた孫四郎を好きになるのも納得です。
なので、甲本雅裕さんが演じる許婚が登場した時は、以登のガッカリ感もそのまま伝わってきました。
剣の腕が立つ凛々しい剣士だった孫四郎に比べて、大喰らいのくせに如何にも弱そうな才助は
彼女にしてみればとても頼りなさそうに感じるのです。
でも、才助は以登の父の覚えも良く、江戸の留学から戻ると婿入り前から彼女の家へ通うようになります。
何故、父は才助をそれほど気に入っているのか彼女には分かりません。
でも、物語が進むにつれて才助の良さが少しずつ見えてきます。
人の良い笑顔の裏に才知を隠し持っている才助は、以登の良き理解者となって行きます。
彼の見せる柔軟な心の広さと優しさに、以登の心も少しずつ近づいていきます。
そして次第に彼の醸し出す安心感が心の中に広がっていきました。
それにしても美しい作品でした~
季節を感じさせてくれる数々の風景。時代を感じさせる所作。そして奥ゆかしい密やかな想い。
どれもが日本だなあと感じさせてくれる美しさを伝えてくれました。
そして、役者も揃ってますね。
何と言っても以登を演じた北川景子さんが素敵でした。
彼女の父を演じた國村隼さんも渋かったです。
あと、以登の許婚役の甲本雅裕さんが最高の笑顔で演じていて、本当にぴったりでした(^^)
物語が終わるにつれ、次第に幸せが広がっていくような展開に、
見終わった時、思わず笑顔になっていた1本です。
監督:中西健二 出演:北川景子 甲本雅裕 宮尾俊太郎 國村隼 市川亀治郎 伊藤歩 柄本明
2009年 日本
(20100228)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は3月13日以降の予定です。