高校生の裕一(池松壮亮)は肝炎で入院していたが、まだ遊びたい盛り。
外出して友達と遊んでは看護婦たちに怒られていた。
ある日、つい戻るのが遅くなり、とうとう裕一は看護婦から罰を与えられてしまう。
それはいつも屋上で寂しそうにしている子供と友達になること。
断ればテレビ禁止という言葉に、渋々ながらもグローブとボールを持って屋上へと向かった裕一は
看護婦の言っていた子供が同い年くらいの女の子・里香(忽那汐里)だったと知る。
唖然としている裕一を尻目に怒りながら去ろうとした里香は、
彼が自分の言うことを何でも聞くのなら許してあげようと提案をした。
テレビのために彼女の提案を呑んだ裕一だったが、彼女の読んだことの無い小説を
図書館からすぐに借りて来いという命令に四苦八苦する。
途中で役目を投げ出してしまった彼が病室で一休みして、ふと屋上を見ると、
そこには夕方になっても彼を待ち続ける里香の姿があった…
純粋な少年と、人生の多くを病院で過ごして来た少女の物語です。
主演の二人の演技に泣かされました~
里香は心臓の疾患を抱えていて、手術をしないと生きられません。
でも、体力的にも弱い少女の手術は難しいため、手術をしてくれる医師が見つかりません。
9歳の頃から病院を転々としてきた彼女は疲れ、笑いを忘れてしまったようでした。
一方、病気ながらも明るく元気な裕一は里香とは正反対です。
最初は仕方なく係わり合いを持ったのですけど、
里香のことを知るうちに彼女の力になってあげたいと願うようになります。
彼女のわがままも、弱気を隠すための言動だと感じ始めるのです。
そして里香も次第に裕一のことを慕うようになって来ました。
物語のキーになるのが私も大好きな宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』です。
里香はこの物語が大好きで、何度でも読み返しています。
裕一が彼女を深く理解するための物語であり、
里香が本当に彼を好きになったきっかけでもあります。
そして、里香が裕一を救う一冊でもありました(T_T)
それにしても池松壮亮くんと忽那汐里ちゃんの二人が良かったです~
初々しいという言葉がぴったりですね。
彼らが真剣に命と向き合う姿は、もう何も言うことはありませんという感じでした。
あと、今回は笑い無しで演じた大泉洋さんも頑張っていました(^^ゞ
途中、時間が度々交差してミスリードを誘うのが面白かったです。
騙されないぞと思っていたので、あまり騙されること無く観てしまったのですけど、
観終った時、素直に騙された方が楽しめたのかもとちょっと思った1本です(^^ゞ
監督:深川栄洋 出演:池松壮亮 忽那汐里 大泉洋 濱田マリ 中村久美
2009年 日本
(20100301)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は4月3日以降の予定です。