1818年。ロンドン郊外に住むブローン家の長女ファニー(アビー・コーニッシュ)は
ファッションに夢中になっている少女。
ドレスを自分でデザインしては器用な手先で美しく作り上げ、舞踏会で披露していた。
そんなある日、ファニーは隣家のチャールズ・ブラウン(ポール・シュナイダー)のもとに居候していた
若い詩人ジョン・キーツ(ベン・ウィショー)と出会う。
初めは貧しくて気の毒な才能ある詩人に親切にするつもりでジョンと接していたファニーだったが、
病弱な弟を慈しむジョンの姿や、詩という自分には分からない世界にいる
彼の姿を見ているうちに少しずつ惹かれ始める。
貧しいジョンと豊かな暮らしを送るファニーとでは結婚できるはずも無い。
だが、ジョンも美しく明るいファニーに惹かれる心の揺れを抑えられなくなっていた…
押さえつけることのできない恋心の激しさと美しさが胸に響いてきました。
19世紀のロンドンで活躍した若き詩人の恋の物語を相手の少女ファニーの視線で描いた作品です。
彼女は詩のことなんて何も分からないと自覚している少女です。本当の恋もしたことがありません。
少女らしい潔癖さで、隣家の詩人チャールズのことをだらしが無くて嫌味な気取り屋だと思っています。
やがて彼女は、チャールズとは全く違う性格の繊細で優しい心を持つジョンに惹かれ始めます。
彼女が可愛いところは、まず詩を知ろうとすることです。
そして、多くの詩に触れ、詩の心を感じるようになります。
詩を理解し、本当の恋を知り、恋に夢中になっていきます。
そんなファニーを前に、恋に奥手だったジョンも冷静ではいられません。
身分の違いや友人チャールズの反対などにより恋心を抑えようとして来たのですけど、
想いは激しくなるばかりです。
でも、二人の前には病魔という暗い影が忍び寄っていました(T_T)
それにしても、美しい印象の残る作品でした。
主演のアビー・コーニッシュの演じるファニーの可愛らしい純粋さと
ベン・ウィショーの演じるジョンの儚くも激しい恋に生きた男の姿が
19世紀のロンドン郊外らしい自然の光と影の中で映し出されていました。
アビー・コーニッシュは『エリザベス ゴールデンエイジ』を観た時に、可愛い女優さんだなと思っていました。
ベン・ウィショーは『パフューム』の時にも独特の雰囲気を持っている人だなと感じたのですけど
今回のジョン・キーツにもぴったりで、言葉に生きる詩人らしい繊細さが似合っていました。
観終った時、恋の美しさと共にファニーはこの後どうなったのだろうと気になってしまった1本です。
監督:ジェーン・カンピオン 出演:アビー・コーニッシュ ベン・ウィショー ポール・シュナイダー ケリー・フォックス トーマス・サングスター クローディー・ブレイクリー イーディ・マーティン
2009年 イギリス 原題:BRIGHT STAR
(20100616)
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