ある冬の日のこと。寝静まった真夜中に玄関から大きな声で月子(宮崎あおい)を呼ぶ声がした。
母の陽子(大竹しのぶ)が泥酔して帰ってきたのだ。
ベッドで熟睡していた月子がしぶしぶと寒い玄関まで出て鍵を開けると、
上機嫌の陽子がお土産を持って来たと言って入ってきた。
後ろにいたのは金髪に髪を染めたダサい服装の男・研二(桐谷健太)だ。
研二も酔っ払っていて、玄関口に倒れこむと爆睡してしまう。
困った月子は母をコタツまで引き摺り、研二には毛布をかけて寝かせておくことにした。
翌朝、月子が玄関を見ると毛布が畳んで置いてあった。
だが、ほっとした月子が台所へ振り返ると、研二が母と仲良く話しながら台所に立っていた…
人生とは何だろうなあと考えさせられる物語でした。
母・陽子と娘・月子の物語です。
二人は下町の雰囲気が残る町で、大家のサクおばあさん(絵沢萠子)と隣同士で住んでいます。
月子の父は月子が生まれる前に亡くなりました。
その後、陽子は女手一つで近所の接骨院で村上先生(國村隼)の下で
看護婦をしながら月子を育ててきました。
現在25歳になる月子はある事情により今は働いていません。
それでも、家族同然のサクさんや村上先生に可愛がられながら、月子は日々を過ごしていました。
そんな二人の暮らしに一人の男が登場します。
年齢30歳で金髪&赤い革ジャンを着た、軽い雰囲気の元板前・研二です。
突然、目の前に現れた研二を訝しそうに見る月子に向かって、陽子はこの人と結婚すると宣言します。
あまりの急な事態と研二への不審感から、月子は家を飛び出してしまいました。
でもこの時、陽子には月子に言えない秘密がありました。
陽子の母として生きた人生。
その終わりを知った時、彼女は一つの愛に出会います。
そして、自分の出会えたこの幸せを月子に伝えたいと思うのです。
実は現在の月子は恋も人生も投げ出してしまっているところがあります。
そんな娘に元気を取り戻して欲しかったのです。
母と向き合うことを避けていた月子が全てを知った時、陽子は幸せそうに微笑みました。
それにしても、二人の演技はさすがでした~
二人とも笑顔が可愛い反面、睨んだ時の顔は怖いのですよね。
そんなところも親子っぽいなあと思いながら観ていました。
脇を固める桐谷健太さん&絵沢萠子さん&國村隼さんたちも良かったです。
この親子が二人だけではなく温かい人たちの中で暮らしているという雰囲気が良く出ていて、
観ていてちょっとうらやましくなりました(^^ゞ
ラストシーンを観ながら、これから辛い時が来ても
きっとこの幸せな時間が哀しみを乗り切る力をくれるだろうなあと感じた1本です。
監督:呉美保 出演:宮崎あおい 大竹しのぶ 桐谷健太 絵沢萠子 國村隼
2010年 日本
(20100827)
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公式サイトはこちらへ追伸
この映画は試写会で観ました。公開は9月4日以降の予定です。