エディ(リチャード・ギア)は定年を間近に迎えた警察官。
22年勤め上げ、定年後は年金生活を楽しみにしていた。
彼の消極的な勤務態度は仲間たちには有名で、弱虫と馬鹿にされていたが、
それでも彼はつつがなく引退できれば良しと考えていた。
定年まで後1週間を残すのみとなった頃、上の方針で新米警察官とバディを組むことになった。
その新米警察官は海兵隊上がりの若者で、警察官が幼い頃からの夢だと張り切っていた。
そんな逸る気持ちを諌めるように導こうとするエディに、新米警察官は呆れ顔になる。
そして翌日、彼はエディの元から離れていった…
3人の警察官の辿る運命はかなり過酷でした。
リチャード・ギアが演じるのは定年間近のエディです。
彼は余計なことには首を出さずに、パトロールをしながら定年の日を待ち続けていました。
22年もの間、毎日が事件漬けだったのです。生き延びるのも大変なほどです。
そんな日々は彼をとことんまで疲れさせていました。
家族も居らず、慰めは馴染みの娼婦だけ。
そんな彼の背中は愛の無い孤独な人生だけを伝えていました。
イーサン・ホークが演じているのは麻薬担当の警察官サルです。
彼はハードな仕事を真面目にこなしていましたけど、警察官の給料では良い暮らしは出来ません。
特に愛する妻との間に多くの子供がいるサルは養っていくだけでも大変です。
今、彼は新しい家に引っ越したいと考えています。
喘息持ちの妻とお腹にいる新しい命のためにも、壁にカビが生えているような家から出たいのです。
でも、新しい家のための頭金を支払う期限が近づいてもお金を用立てる見通しが立たず、苦しんでいました。
3人目のドン・チードルが演じるのは潜入捜査官タンゴです。
昇進するために潜入捜査官を希望した彼は、もう何年もの間、犯罪グループの中に溶け込んでいます。
そして、その間には仲間との友情や絆が生まれていました。
特にグループのリーダーであるキャズ(ウェズリー・スナイプス)とは
互いに命の恩人であると思っているほど強い信頼で結ばれています。
そんな彼は、ある事件をきっかけに自分の心が警察官ではなくなっていると感じ、
任務を降りたいと考え始めていました。
同じ警察官と言っても立場も性格も違う3人がラストへ向かう途中で交差します。
互いに顔は知りませんし、声を掛け合うこともありません。
でも、その後に彼らがとったそれぞれの行動が、彼らの運命を決定付けて行きました。
それにしてもハードボイルドでした~
罠に落ちた人、落ちなかった人、それぞれの人生が交差していく中で、
3人の警察官の姿が真実を映し出すような真っ直ぐな視線で描かれていました。
そして、それぞれの警察官を演じた3人の俳優もさすがの上手さで、
現状に悩みながらも必死に生きようとする姿はとても印象的でした。
観終わった時、しばらくの間は言葉も出ませんでした。
警察官は報われることの少ない本当に大変な職業なのねとため息をついた1本です(T_T)
監督:アントワーン・フークア 出演:リチャード・ギア イーサン・ホーク ドン・チードル ウェズリー・スナイプス エレン・バーキン
2010年 アメリカ 原題:BROOKLYN'S FINEST
(20101019)
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公式サイトはこちらへ追伸
この映画は試写会で観ました。公開は10月30日以降の予定です。