昭和55年。戦前からの家並みが残るような川向こうの寂れた町で、質屋の店主・桐原が殺された。
密室殺人とも言える状況で、見つけたのは近所の小学生たちだった。
犯人や動機も分からぬまま捜査を始めた警察は、やがて店主の妻・弥生子(戸田恵子)と店員・松浦(田中哲司)の不倫や、桐原が西村文代(山下容莉枝)という愛人を持っていたことを突き止めた。
桐原家と西村家を訪れた所轄の刑事・笹垣(船越英一郎)はそれぞれの家の子供たちに強い印象を持つ。
暗い瞳で無表情に母のアリバイとなるテレビ番組の内容を話す桐原亮司と
質屋の桐原が家へ来たことを誤魔化そうとした母の証言を覆した、強い瞳を持つ西本雪穂。
間もなく、犯人と目された男と西村文代がそれぞれ事故死し、事件は被疑者死亡のまま終結する。
そして、小学三年生だった子供たちは中学生へと成長していった…
観終わった時、ドーンと打ちのめされました~
心を殺して生きた少年と心を支配して生きた少女の物語です。
母子家庭で育った少女・西本雪穂は小学3年生の時に母が亡くなり、身寄りを無くします。
その後、父方の遠縁の女性に引き取られた彼女は唐沢と性を変え、美しく上品なお嬢様へと成長しました。
誰からも一目置かれるような賢くてしっかりした性格の雪穂(堀北真希)は中学校で殺人犯の娘という嫌な噂を立てられます。
その後、噂を立てた女子学生が男に襲われてボロボロにされるという事件が起きました。
被害を受けた女子学生の発見者は偶然に道を通りかかった雪穂と友人の川島江利子でした。
その後も雪穂の行く手を邪魔するような人物は、男性なら殺される、女性なら襲われてしまうというように
何らかの深刻なダメージを受けるようになります。
その関連性は誰にも分かるはずのないものでした。
そんな彼女の前に、昭和55年の殺人事件が頭から離れられない刑事・笹垣(越英一郎)が立ちふさがります。
彼はゆっくりと複雑な心の先にある真相を暴いていきます。
そして、彼女の子供時代を調べるうちに、被害者の息子・桐原亮司(高良健吾)が
雪穂の周りで起きている事件に関わっているのではないかという印象を持ちます。
そして真実が見えた時、雪穂と亮司の特異な繋がりが判明しました。
それにしても、怖い物語でした~
心を支配してしまう闇。その支配力は相手の人生をも変える力を持っています。
そして一度、雪穂に決断されたら、彼女のターゲットは死ぬか死に相当するような被害を被ってしまいます。
そんな清楚だけど怖い面をも持つ雪穂を堀北真希さんは可憐な横顔で上手く演じていました。
また、小学生の頃に彼女に心を奪われて、そのまま成長していく亮司に、
暗い目が似合う高良健吾さんはピッタリでした。
そして二人で不思議な絆と強い心を静かに伝えてくれました。
観終った時、ぞっとするような怖さを感じました。
大人の犠牲者となった子供たちの行く末に心が痛みました。
こんな闇を創り出したのは、あの寂れた町なのかなあとちょっと感じた1本です。
監督:深川栄洋 出演:堀北真希 高良健吾 船越英一郎 戸田恵子 田中哲司 緑友利恵 栗田麗
2011年 日本
(20101216)
→公式サイトはこちらへ http://byakuyako.gaga.ne.jp/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は1月29日以降の予定です。