星を追う子ども

『秒速5センチメートル』の新海誠監督の最新アニメーションです。
予告編を観ながら、タイトルの“星を追う子ども”とはどんな意味だろうかと気になっていました。
観始めてすぐに、ちょっと懐かしいような雰囲気の独特の世界に引き込まれていきました。

アスナ（金元寿子）は幼い頃に父を亡くし、看護婦の母と二人暮らしの女の子。
幼いながらも、母の代わりに炊事や洗濯などの家事をこなすしっかり者だ。
彼女の楽しみは、父の形見の鉱石を使った手作りラジオで音楽を聞くこと。
鉄橋を渡って山の上へ登り、町を見下ろす高台でひとり過ごすのが日課だった。
ある日のこと、ラジオから不思議な歌が聞こえてきた。
その歌声は彼女の心に残ったが、再び聞こえることはなかった。
それから間もなく、近所で熊が出たという噂が出始めた…

死を深く考えるような展開に、心がシーンとなるような気持ちのままスクリーンを見つめていました。

幼い頃に父を亡くした少女、10年前に妻を亡くした男、そして最近に兄を亡くした少年が
それぞれの想いを持ちながら相対していく物語です。
少女アスナは不思議な少年・シュン（入野自由）と出会います。
彼は彼女の命を救い、彼女の隠れ家である高台で一緒のひと時を過ごしました。
でも、彼女と出会って間もなくシュンは亡くなってしまいます。
彼について分っているのはアガルタから来たということだけです。
一緒に居られる友達が出来たと思ったらすぐに失ってしまい、彼女の心は沈みました。

そんな彼女の前に、産休の代理教師・森崎（井上和彦）が現れます。
森崎は亡くなった妻を蘇らせるために、地下帝国アガルタの秘密を探る組織の一員になっていましたが
表向きは学校教師の顔を持っていました。
シュンの面影を忘れられないアスカとアガルタを探す森崎は、亡くなったシュンにそっくりのシン（入野自由）と出会います。
そして二人は去って行ったシンの後を追うように、一緒にアガルタの奥地へと向かうことになりました。

それにしても、不思議な世界でした～
地下帝国アガルタが思いのほか広くて星の無い空が広がっているのが面白かったです。
地下と言うよりは異次元の世界のようでした。
そして、二人がそれぞれの意思で到着点へと向かっていく中、死の影が二人を追い始めます。
二人の違うキャラクターは観ている者の心を乗せて、一緒に何かを見つける旅に連れて行ってくれました。
そして、二人の心の行方とともに、
その二人を追うことになったシンの強い気持ちも心に残りました。

最初から最後まで絵の美しさが印象的でした。
見終わった時、こんな色々な表情の空を観たのは久々だなとちょっと思った1本です。



監督：新海誠　声の出演：金元寿子　井上和彦　入野自由
2011年　日本
（20110426）

→公式サイトはこちらへ　http://www.hoshi-o-kodomo.jp/top.php

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は5月7日以降の予定です。