1996年。アルジェリアの山深い小さな村にフランスから来た修道士たちの住む修道院があった。
彼らは毎日静かな祈りを捧げ、
医者を求めてくる村人たちには医療による治療をほどこしていた。
そんな中、国内ではイスラム系の武装集団が暴力による支配を広げ始め、
治安は悪化の一途を辿り始めていた。
国からは帰国指示が届くほどで、彼らも帰国するか留まるかの選択を迫られることになる。
院長であるクリスチャン(ランベール・ウィルソン)の提案で、全員で話し合いを始めるが、
早速、命の危険を訴えて帰りたいと願う者が手をあげた。
だが反面、帰国しても待っている家族もいないし、
まだ使命を果たせていないと強い意志を見せる修道士がいた…
話し合いの果てにした彼らの決意の表情が心に残りました。
使命としてアルジェリアにやって来た修道士たち。
彼らはただ、奉仕と祈りで過ごすという静かな日々を送っています。
イスラム教徒である村人たちとも強い信頼で結ばれている、精神的に満ち足りた生活。
でも、そんな彼らに命を脅かす暴力が近付いてきてしまいます。
最初に敵意を持って彼らに近付いてきた武装集団のリーダーは、
落ち着いた態度で応対するクリスチャンの真剣な言葉に耳を傾けてくれます。
キリスト教徒はイスラムの隣人という昔の人の言葉に納得したリーダーは、
修道士たちに非礼を詫びて去って行きました。
その出来事には、暴力で支配しようとしている相手にも
真摯な態度で臨めば心が通じ合うという希望が持てる予感がしました。
でも、一方で命の危険が迫っていることをヒシヒシと感じさせる出来事でもありました。
その後も戦闘機や銃撃戦の音が日に日に近付いてきます。
畑仕事をしていても、放牧をしていても、安心できはしません。
そして、いよいよ危うさが肌で感じられるほど、命の危険が迫ってきてしまいました(T_T)
それにしても、心が痛くなるような物語でした。
ただ、静かに修道院で過ごしたいと願っているだけなのに、それが許されない現実は
観ていてとても苦しくなりました。
特に彼らが儀式のために歌う歌声の美しさを感じる度に、
その静謐な美しさが壊されていくのを観るのが辛かったです(T_T)
彼らが最後となる晩餐で見せた笑顔や決心を抱いた顔はとても印象に残りました。
正直、修道士たちの心境は深くは理解できないですけど、
彼らの静かな顔付きと歌声がいつまでも心に残って離れなかった1本です。
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ 出演:ランベール・ウィルソン マイケル・ロンズデール オリヴィエ・ラブルダン フィリップ・ロダンバッシュ ジャック・エルラン ロイック・ピション グザヴィエ・マリー ジャン=マリー・フラン オリヴィエ・ペリエ サブリナ・ウアザニ ファリド・ラービ サブリナ・ウアザニ
2010年 原題:DES HOMMES ET DES DIEUX/OF GODS AND MEN
(20110422)
→公式サイトはこちらへ http://www.ofgods-and-men.jp/