老年の女性を主人公に、人生の機微をじっくりと描いたポーランド映画です。
岩波ホールでの公開だったのですけど、近くの劇場にも来たので早速、見てきました。
モノクロの映像が本当に美しくて、切ないけれど優しい余韻の残る作品でした。
91歳のアニェラ(ダヌタ・シャフラルスカ)は、古い屋敷で一人暮らしをしている。
相棒は愛犬のフィラデルフィアだ。
ワルシャワ郊外の木に囲まれた古い屋敷は戦前に建てられたもので、
今では大掛かりな修理が必要になってきたほど寂れていた。
夫に先立たれ、一人息子と離れて暮らす彼女の楽しみは、近隣を双眼鏡で観察することと
昔の思い出に浸ること。
両親が生きていた頃はパーティを開いて舞踏を楽しむなど、豪勢な暮らしをしていたのだ。
今の彼女にとってこの家は心の支えだった。
だが、息子はこの家を売ってしまうことしか考えていなかった…
儚い夢のような、そして未来への希望と優しさを感じるような作品でした。
91歳の老婦人の物語です。
彼女は一人で寂れた屋敷に住んでいます。
屋敷は大きくて広いのですけど、あちこちガタがきています。
先日、間借り人も出て行き、人の気配がするのは隣近所からだけです。
彼女は遠くに住む一人息子と孫娘を恋しく思っています。
反面、どうしようもない二人を疎ましくも思い始めています。
自分の肉親への情と不安に彼女の心は揺れ動きます。
そして、自分の命の限界を悟った時、彼女は一つの決断をしました。
それにしても、美しくて切ない物語でした(T_T)
モノクロの映像が鮮やかに色付いて見えるほどにきれいでした。
そして、ダヌタ・シャフラルスカの凛とした佇まいと演技はもちろんのこと、
愛犬フィラデルフィアの驚くほどの名演技が凄かったです。
見終わった時、彼女の微笑みが心の中に残りました。
最後まで自分の人生を全うした彼女の生き方に、暖かい想いを感じた1本です。
監督:ドロタ・ケンジェジャフスカ 出演:ダヌタ・シャフラルスカ クシシュトフ・グロビシュ パトルィツィヤ・シェフチク カミル・ビタウ
2007年 ポーランド 原題:PORA UMIERAC
(20110619)
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公式サイトはこちらへ http://www.pioniwa.com/nowshowing/komorebi.html