母たちと市場に買い物に来たオーキッド(シャリファ・アマニ)は真っ直ぐにVCDを売っている露店へと向かった。
目的は大好きな金城武の出演作だ。
早速、店頭に居たジェイソンに『天使の涙』『恋する惑星』『ソルジャー・ボーイズ』があるかと尋ねたが、
彼はオーキッドに見とれてしまい、声も出せない。
問い質されて、ようやくジェイソンがどれもあると答えると、
彼女は予算が無いから今日は『ソルジャー・ボーイズ』だけ買うことに決める。
そして1枚分のお金を払って去ろうとした彼女に、ジェイソンは声を掛けて追いつくと
面白くなかったらお金は要らないからと言って『恋する惑星』を渡した。
それは運命の恋の始まりだった…
可愛い恋かと思って観始めたら、かなり切ないラブストーリーでした(T_T)
マレー系の少女と中華系の少年の織り成すラブストーリーです。
少女は裕福な階級に属する17歳の高校生で勉強も出来るキュートな女の子。
少年は貧しい階級に属する18歳で、街を仕切っている組織に入りながらVCDを売って稼いでいます。
二人は人目で恋に落ちます。
特にジェイソンの方は熱烈で、彼女に気に入ってもらおうと一生懸命になります。
そんなジェイソンにオーキッドも真剣に恋するようになって来ました。
二人の恋の難関はいくつもあります。
まずはマレー系と中華系という民族の違い。
マレーシアでは違う民族同士で結婚することはあまり多くないらしいです。
どんなに当人が愛し合っていても、家族の理解が無ければ愛を遂げるのは困難です。
次は身分の違い。
お手伝いさんのいるような裕福な家庭の一人娘であるオーキッドを愛している父親は
やっぱり彼女を安心して任せられる男と付き合って欲しいのです。
そして、最後はジェイソンを取り巻く環境です。
彼は末端とは言え、街の組織と繋がりがあります。
しかも、組織を仕切っているボスの妹に好かれてしまって、彼女から付き合うように言われます。
そこでキッチリと断れないのは仕事のためであり、ボスが怖いためです。
そんな彼女と寝てしまうのは男としては仕方ないことなのかも知れませんね。
でも、そのためにジェイソンは追い詰められてしまいました(T_T)
それにしても、初めて知ることが多かったです。
やっぱり何も知識の無い国を知るのに映画で感じることは近道ですね。
この映画に登場する家庭や環境が全てとは思いませんけれど、
マレーシアという国が様々な民族や文化で成り立っているのだということを改めて実感しました。
そして、そういう国だからこその難しさをしみじみと感じました。
観終わった時、この監督さんの作品をもっと観たいなあと思うのと同時に、
これからも様々な国の映画に出会いたいなと感じた1本です。
監督:ヤスミン・アフマド 出演:シャリファ・アマニ
2004年 マレーシア 原題:SEPET
(20110717)