1942年のフランスにはナチスの迫害から逃れてきた外国籍のユダヤ人が多く移住していた。
少年ジョー(ユーゴ・ルヴェルデ)のヴァイスマン一家もポーランドからの移住者だが、
この一家の子どもたちはフランス生まれでジョーもフランス語しか話せない。
そんな彼らも先日に出された発令によって、ユダヤ人として胸に黄色い星を付けて生きなければならなかった。
ジョーは星を付けて学校へ行くのが嫌だったが、それでもポーランド時代よりはずっといいと
父母は苦笑いしていた。
だが、フランス政府はナチスの意向と自分たちの利益を得るため、ユダヤ人を一斉検挙する計画を立て始めた…
連れ去られた人々には信じられない世界が待っていました。
パリに住む数万人のユダヤ人たちが突然にフランスの警察に競技場へ連れて行かれ、
そのまま収容所送りになってしまった事件を描いた作品です。
ユダヤ人といっても長年仲良く暮らしてきた人々も多く、市民たちの多くは彼らに罪などないと分かっています。
それでも、そんな市民の心を無視して事件は起こされてしまいました。
どんな誰の意向が働いたのかも描かれていて、本当に少数の歪んだ考えと時代の流れによって
こんな出来事が起こってしまったのだなということが伝わって来ました。
この映画ではいろいろな視点が登場します。
強制移動させられたヴァイスマン一家。
ユダヤ人として命の危険が迫ろうとも、最後まで医療活動を続けたシェインバウム医師(ジャン・レノ)。
一般の市民として最後まで彼らを助けようとした看護師アネット(メラニー・ロラン)。
それぞれがどんなに必死に頑張っても、運命は残酷に動いていきます。
そして、子供たちまでが収容所送りになってしまった背景には愕然としてしまいました(T_T)
それにしても、ハードな作品でした。
いろいろな戦争映画で悲しいシーンは観ていますけど、
親子が離れ離れになるシーンは本当に悲しかったです。
そして、子供たちを必死に助けようとするアネットの姿には心を打たれました。
日本の戦争とはまた違うヨーロッパの戦時下を観て、また戦争のことを考えさせられました。
いつになったら、こんな悲劇がない世界が来るのかなあと思った1本です。
監督:ローズ・ボッシュ 出演:メラニー・ロラン ジャン・レノ ユーゴ・ルヴェルデ ガド・エルマレ ラファエル・アゴゲ オリヴィエ・シヴィ マチュー&ロマン・ディ・コンチェート
2010年 フランス/ドイツ/ハンガリー 原題:LA RAFLE./THE ROUNDUP
(20110711)
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公式サイトはこちらへ http://kiiroihoshi-movie.com/pc/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は7月23日以降の予定です。