リストラは一家の生活や男たちのプライドを引き裂いていきました。
リーマン・ショックによって大不況に陥ったアメリカの造船業界が舞台の作品です。
営業部長のボビー・ウォーカー(ベン・アフレック)は、ある朝、突然に解雇を言い渡されます。
社長の方針により会社の中で赤字である造船部門を統合して、大幅に人員を削減してしまったのです。
いい大学を出てMBAも持っているボビーは高給取りで、豪華な住宅と高級車を持ち、
ゴルフクラブ会員になってリッチな仲間たちとゴルフを楽しんでいました。
でも、そんな生活が突然に崩れ去ってしまいました。
彼は会社の勧める職業支援センターに通い始めます。
そこでは仕事の斡旋はしてくれません。ただ洗脳のように、やる気を出して頑張れというだけです。
コピーや電話代などの経費は元の会社が支払ってくれるので、
期間内に自力で職をゲットしなさいという訳です。
自信家のボビーは自分だったら、すぐに別の企業から声がかかると高をくくっていました。
でも、世間はそれほど甘くはありませんでした。
それにしても、シビアですね。
会社を立ち上げたメンバーであり、社長の親友でもある副社長のジーン(トミー・リー・ジョーンズ)まで
突然に解雇を言い渡されてしまいます。
職を失った者の中には、絶望から死を選ぶ者さえいます。
一方で何千人とリストラしてきた社長は、高額所得CEOのベスト20に入っているのです。
相変わらずのCEOと無職になった男たちの感じる虚しさの隔たりには、不公平というよりも
もう不条理さえ感じました。
そして、これがまかり通るなんて変な社会だなあと改めて不思議に感じてしまいました。
前半は主人公のプライドの高さにちょっと辟易しましたけど、
こういう人たちがよくいるエリート・ビジネスマンの姿なのだなと実感すると同時に、
彼らが自分を取り戻すことの難しさと厳しさをしみじみと感じました。
そんな主人公が自分を見つめなおして、しっかりとした気持ちで新しい一歩を踏み出す姿にはニッコリしました。
そして、自信のある人がやる気になったら、きっとパワーを発揮するだろうなと感じました。
やっぱり役者が揃っていると見応えのあるシーンが多いなと思いながら、
彼らの語る台詞にいろいろと考えさせられた1本です。
監督:ジョン・ウェルズ 出演:ベン・アフレック トミー・リー・ジョーンズ クリス・クーパー ケヴィン・コスナー マリア・ベロ ローズマリー・デウィット
2010年 アメリカ 原題:THE COMPANY MEN
(20110928)
→
公式サイトはこちらへ http://companymen-movie.com/