ある一家のクリスマス・イブの様子を描いた人間ドラマです。
イメージ写真になっている笑顔の家族写真に惹かれてチャレンジしてみました。
でも、原題は“不法侵入”。予想よりもブラックでちょっとびっくりな物語が展開されていました^^;
ラストに釈然としない想いを残しながら、物語は終わって行きました。
クリスマス・イブの夜の物語です。
アギナルド一家はメイドも含めた家族総出でクリスマス・イブの行列に参加します。
美しい明りに彩られた生誕を祝う敬虔なひと時です。
でも、帰宅をすると家には泥棒が入っており、必要以上にめちゃくちゃに荒らされていました。
しかも息子の部屋においてあった姉の大切なノートパソコンや、息子が母から銀行に預金するように言われた
集金したての一か月分の家賃という大金が盗まれていました。
姉自身は自分の部屋の鍵を掛けていて無事だったこともあり、弟を責め始めます。
そして、大金が盗まれてしまったことが父にも分かると、父も苦々しい顔に変わっていきます。
なぜ、母は父ではなく息子に預けたのかという謎と、家の権利書も見つからないという謎が判明した時、
裕福で仲の良さそうだった家族の間に不穏な空気が流れていきます。
そして、誰もが日頃から感じていた不安や不満があふれ始めました。
それにしても、不思議な雰囲気の作品でした。
調査をしていた警察も帰り、翌朝に再び一家総出で教会へ行った時、息子は盗まれたはずの
自分のジャケットを着た男を見かけます。
泥棒も教会へ祈りに来ていたのです。
でも、泥棒はそのまま逃げおせてしまいます。
しかも、教会の近くで親しい人の子供に、分厚くなっている財布からお小遣いを与えているのです。
子供の笑顔と泥棒の笑顔。そして、その後ろにある教会の全景を映して物語は終わります。
映画の後、Q&Aでの質問に答えた監督さんは「教会にも罪人は来る。というか教会にこそ罪人がいる」
みたいなことを仰っていました。
そういう考え方もあるのかと思いながら、でもきっと、いつかは泥棒も現実に罪を償って欲しいなあと
ちょっと考えてしまった1本です。
監督:ジェフリー・ジェトゥリアン 出演:ティルソ・クルーズ3世 ラケール・ビラビセンシオ ジェニファー・セビラ ジュリア・クラレット エドガー・アラン・グズマン キミー・マクラン
2011年 フィリピン 原題:Trespassers/Bisperas
(20111023)
追伸
この映画は東京国際映画祭で観ました。公開予定は未定です。