五感が無くなっていく不治の奇病が蔓延していく世界を描いたヒューマンドラマです。
主演のユアン・マクレガーとエヴァ・グリーンがどんな世界を見せてくれるのか気になっていました。
次第に病に冒されていく人々の心情が二人の姿を通してひしひしと伝わってくるような作品でした。
五感がひとつずつ無くなっていくという状況はやっぱり怖かったです。
世界に原因不明の奇病が広がっていく物語です。
まずは嗅覚。人々は突然に深い悲しみに襲われます。
これまでの体験した哀しみや悔恨が一気によみがえり、泣き崩れて立ち上がれないほど悲しくなるのです。
そして、しばらく過ぎると嗅覚を失います。
感染症研究者スーザン(エヴァ・グリーン)のところにそんな患者の報告が入って間もなく、
奇病は世界中で発生していることが判明します。
でも、原因は不明です。感染症の疑いはあるものの、菌もウィルスも見つかりませんでした。
街中に住むスーザンのアパートの近所にあるレストランで働くマイケル(ユアン・マクレガー)は
休憩時間に外に出た時に、部屋の窓際でたばこを吸う彼女を見かけます。
彼女にたばこをねだったマイケルは、それをきっかけに彼女と顔見知りになります。
次にスーザンを見かけた時、彼は彼女を自分の働くレストランに招待します。
でも、最初は楽しく会話をしていたスーザンが、突然に深い悲しみに襲われます。
そのまま彼女を慰めていたマイケルはいつしか自分も深い悲しみに襲われ、
翌朝には二人とも嗅覚を失っていきました。
それにしても、ちょっと不思議な恋愛物語でした。
奇病はその後、味覚、聴覚と進行し、人々はパニックに襲われます。
面白いのは五感を失っていく前に、発作的に激情にとらわれることです。
哀しみ。恐怖と飢餓。怒りや憎しみ。それぞれに感情を爆発させた後に感覚を失っていきます。
その度に人はどのように考え、どのように生きて行くのかを
二人の姿を通りながら体験しているようでした。
そして、二人の心が深く結び合うラストが来た時、何とも言えない気持ちになりました。
先日に観た「コンテイジョン」は最先端で働く人々のシュミレーションのような物語だなと思いましたけど、
今作は普通の人々の目線でみたエモーショナルな物語になっていました。
主演の二人の演技も本当に良かったです。
観終わった時、自分なら最後に観たい光景は何だろうなとちょっと考えた1本です。
監督:デヴィッド・マッケンジー 出演:ユアン・マクレガー エヴァ・グリーン ユエン・ブレムナー コニー・ニールセン
2011年 イギリス 原題:PERFECT SENSE
(20111221)
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公式サイトはこちらへ http://gacchi.jp/movies/perfectsense/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は1月7日以降の予定です。