そのうしろ姿はあまりにも寂しそうで切なかったです(T_T)
老いて認知症に苦しみながら生きる近年の姿と、政治家として活躍していた時代と交互に映しながら、
マーガレット・サッチャーの人生を綴った物語です。
町の片隅で食品店を営みながら、市長として理想の市政に挑んだ父の姿を見て育った少女時代。
オックスフォード大学を卒業して政治家を目指すも、若い独身女性では当選できなかった20代前半。
彼女を理解し支えてくれるデニス(ジム・ブロードベント)との結婚と議員として活躍した日々。
そして、ついに首相を目指すことになった50代~60代の厳しい政局にさらされる日々。
どの時代も強い信念で突き進んでいました。
家庭を選ばずに政治家として生きる人生を送る日々は、心休まる時間などありません。
子供たちの姿はあまり出て来ませんでしたけど、母として十分に愛情を注ぐ時間はなかったようです。
彼女を支えている夫も、さすがに首相を目指し始めた時は怒りをぶつけます。
それでも夫はずっと彼女を支え続けていきました。
そんな日々を送ることがデニスにとってどんな気持ちなのかは描かれていません。
そして今、マーガレットはその日々を振り返りながら、彼が幸せだったかと自問するしかありませんでした。
それにしても政治家として生きることは大変なのだかと実感するような物語でした。
ターゲットにされればすぐに爆弾を仕掛けられてしまうようなお国柄で自分の意思を貫くことの難しさ。
それは何と言っても自分が正しいと信じられなければなりません。
時には誰も味方がいなくなってしまうこともあります。
それでも彼女が自分を貫きながら生きたことを凄いと思うと共に、何故かちょっと怖さを感じました。
そして、いつの時にも信頼するデニスの支えが無くては出来なかったことなのだろうなと感じました。
映画を観て、またイギリスの一面を知ったなと思うのと同時に、
この役を演じきったメリル・ストリープにアカデミー賞はふさわしいなと改めて感じました。
観終わった時、マーガレットが本当の安らぎを感じられるのは
こんな姿になった今だけなのだろうなと寂しく思った1本です。
監督:フィリダ・ロイド 出演:メリル・ストリープ ジム・ブロードベント オリヴィア・コールマン アレクサンドラ・ローチ ハリー・ロイド イアン・グレン アンソニー・ヘッド リチャード・E・グラント
2011年 イギリス 原題:THE IRON LADY
(20120305)
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公式サイトはこちらへ http://ironlady.gaga.ne.jp/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は3月16日以降の予定です。