ハラがコレなんで

石井裕也監督が仲里依紗主演でちょっと不思議な女の子を描いたファンタジーです。
昨年秋の公開時に見逃していたのですけど、機会があったのでチャレンジしてみました。
かなりびっくりな性格に育った女の子の大らかさに、目を丸くしながら観ていました(^^ゞ

そんなふうに考えられたら、それだけでパワーになるよなあと思うような性格の女の子でした。

妊娠9ヶ月の大きなお腹を抱えた女の子の物語です。
原光子（仲里依紗）はアメリカ人の恋人と付き合っている時に妊娠し、捨てられて日本に戻って来ました。
しばらくしてお金が無くなると、荷物を整理して空になったアパートから出て、
スーツケース一つで気の向くままに歩き始めてしまいます。

家なし、金なし、行く所なしの光子なのですけど、気の毒な人に会うと何かしてあげずにはいられません。
なけなしの小銭までリストラされたサラリーマンに与えて、自分は無一文になってしまいます。
そして、いい風が吹くまで待とうと公園のベンチで昼寝を始めます。
やがて風を感じた彼女はおもむろに空を見上げると、気持ち良さそうな雲を見つけ、
タクシーを止めて、あの雲を追いかけてと運転手に指示しました。

それにしても、昼寝と“イキがいい”が好きな女の子でした～
見方によってはかなりお節介で迷惑な女の子です。
時によっては、そのお節介が裏目に出て敬遠されてしまう時もあります。
でも、それはそれと割り切って、再びお節介に勤しむところが妙に面白いです。
そして、自分の思うがままに突き進む彼女の勢いは、もう誰にも止められませんでした。

気の毒な話を聞いては同情し、気風のいい行為に出会うと“イキがいいね～”と感動し、
悪い状況に陥ると良い風が吹くまで昼寝をする。
そんな彼女が笑顔で生きてこれたことこそが、まさしくファンタジーだなと感じた1本です。



監督：石井裕也　出演：仲里依紗　中村蒼　石橋凌　稲川実代子　斉藤慶子　並樹史朗　竹内都子　大野百花
2011年　日本
（20120306）

→公式サイトはこちらへ　http://harakore.com/