ロバート・レッドフォード監督が創りたいと思ったのは分かるなあと感じました。
暗殺グループの共犯者とされた下宿屋の女性の物語です。
北軍の勝利に沸いていたワシントンに衝撃が走りました。
家族で演劇を楽しんでいたリンカーン大統領が銃に撃たれて暗殺されたのです。
すぐに配備された包囲網により、容疑者グループは次々と逮捕されました。
そして、その中には、そのグループがよく会合をしていた下宿屋を営んでいた
メアリー・サラット(ロビン・ライト)もいました。
北軍の大尉として戦争に4年間も参加したフレデリック・エイキン(ジェームズ・マカヴォイ)は
戦争の終結と共に弁護士へと転向していました。
そんな彼の元に、元司法長官であるジョンソン上院議員(トム・ウィルキンソン)から
メアリーの弁護をして欲しいと言う依頼が来ます。
フレデリックとしても彼女の有罪を信じていたし、敵である北軍の一味の弁護をしたくはありません。
でも、民間人が軍事裁判にかけられるという異常事態に対して、ジョンソン上院議員は
せめてきちんとした弁護をしなくてはならないとフレデリックを説得しました。
当然ながら、しぶしぶ担当した弁護人にメアリー・サラットも心を開きません。
しかも、彼女は息子を庇うために、自分に不利になろうとも質問に答えないことも多いのです。
審議が始まって間も無く、フレデリックは再び上院議員に、彼女は有罪だから担当を降りると訴えます。
そんなフレデリックにジョンソン上院議員は、有罪を証明してみろと言いました。
そして、メアリー・サラットや彼女の娘アンナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)と話しているうちに
フレデリックもメアリーは無罪なのかもしれないと思い始めます。
そして、彼女の裁判に対する正義の無さに、次第に怒りを覚え始めました。
それにしても、こんな裁判は嫌だなあと思うような展開でした。
これが軍事裁判の怖さでしょうか。
検察も判事も、そして弁護人側の証人さえも、みんながメアリーを有罪にしようとするのです。
メアリーは始めから結果の決まったレースに強制的に参加させられているようです。
そして、その決められていた結果は、若いフレデリックが立ち向かうには大きすぎました。
改めて裁判とは何だろうと考えさせられるような物語でした。
ジェームズ・マカヴォイやロビン・ライトの演技も良くて、終盤へ向かうにつれてどんどん引き込まれました。
また、『
リンカーン/秘密の書』と『
終の信託』を先に観ていたので、面白さが倍増した気がしました。
帰り道、この2本を観ている人にはお勧めだなと思いつつ、
今、この2本を観ている人は一体どれくらいいるのだろうと、ちょっと考えた1本です。
監督:ロバート・レッドフォード 出演:ジェームズ・マカヴォイ ロビン・ライト ケヴィン・クライン ダニー・ヒューストン エヴァン・レイチェル・ウッド ジャスティン・ロング アレクシス・ブレデル コルム・ミーニイ トム・ウィルキンソン
2011年 アメリカ 原題:THE CONSPIRATOR
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