どこまでも壊れていきました~
一人の女性が西海岸へ向かう飛行機に乗っているところから始まる物語です。
ファーストクラスに乗っているジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、ずっと隣の老婦人に話しかけています。
息もつかせぬくらいの勢いの彼女に対し、聞いている女性は相槌をつく間もありません。
荷物を受け取ってジャスミンが楽しかったわと振り向くと、もう女性はいなくなっています。
女性は迎えに来ていた夫にあれは誰かと聞かれると、たまたま隣に座った人で
ずっと自分のことばかりしゃべっていたとつまらなそうに答えました(-_-)
ジャスミンは実業家の夫と共にセレブな生活をしていましたけど、とある事件をきっかけにその生活は崩壊し
そのままジャスミンは財産を失い、さらに未亡人になってしまいました。
今回は、全てを無くした彼女が妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)を頼るための旅だったのです。
でも、彼女にはやりたいこともやるべきことも分かりません。あるのは過去の栄光とプライドだけ。
それでも、お金のためには仕方ありません。妹の彼氏の紹介で歯科医院の受付で働くようになりました。
それにしても、壊れていますね~
もともとこの物語はウディ・アレン監督が妻の聞いた噂話から考え付いたそうです。
もしかしたら本当にいるかも知れないキャラクターなのですね。
とにかく自分のことばかりで自分大好きな人です。
夫も大好き。ある意味、夫一筋でその愛は真っ直ぐです。
あとは夫のもたらしてくれる生活も大好きで、彼女の人生には欠かせないものでした。
だからこそ、その生活が崩壊した時、心も壊れてしまいます。もちろん本人に自覚などありません。
妹は健気に姉を支えようとしますけど、ジャスミンはその好意を当然のように受け取っているだけです。
そして、実は心の中では妹の生活レベルを低いと思っています。
でも、ちゃんと働いて子供を育てているのは妹ですし、本当に愛してくれる恋人がいるのも妹です。
愛だけが支えの人生だったのに、ジャスミンはそのことにずっと気付きませんでした。
そして、何と言ってもケイト・ブランシェットの存在感は凄いですね~
浮き沈みの激しいジャスミンの状態を全身で克明に表現してくれます。
シーンごとの彼女の表情があまりにもなので、つい笑ってしまいそうになるほどです。
ブラックなのに笑える展開はウディ・アレン監督の真骨頂ですね。
特に今回はケイト・ブランシェットの名演技で可笑しなブラックさに磨きがかかっていました^_^;
愛があれば全てOKと考えているジャスミンの無邪気さが気の毒でした。
観終った時、この作品を観た人はきっと、女の怖さが分かっただろうなあと感じた1本です。
監督:ウディ・アレン 出演:ケイト・ブランシェット サリー・ホーキンス アレック・ボールドウィン ピーター・サースガード ルイス・C・K
2013年 アメリカ 原題:BLUE JASMINE
(20140530)
→
公式サイトはこちらへ http://blue-jasmine.jp/