戦場は人を壊してしまうと、改めて実感させられました。
乾いた砂漠の街を俯瞰で見ている映像から始まる物語です。
粗いモノクロの映像には不穏な動きが映し出されていました。テロリストたちが攻撃を仕掛けてきたのです。
待ち伏せによる攻撃で、5人の仲間を失い1人生き残った特殊部隊所属のスミス(ジェイソン・ステイサム)は
人質を取って銃を威嚇射撃しながら街中を進んでいきました。
その後、スミスが病院を脱走したという報告が上がります。
彼はこの事件で心を病み、密かに入院治療を行っていたのです。
特殊部隊所属の者が無断で除隊することなど出来ません。
でも、逃げ出した彼の行方は不明になり、そのまま姿をくらましました。
そして、ロンドンの街の裏通りでダンボールを家にしている浮浪者たちの中に、彼の姿がありました。
それにしても、孤独で哀しい物語ですね。
ダンボール生活からも逃げ出して居場所を失ったスミスは、運良く身を隠す場所と資金を手に入れます。
そして、警察や軍から身を隠しながらも、ダンボールで一緒に過ごしていた人々のために動き始めます。
でも、彼の犯罪にもなってしまうような暮らし方には、安心感など全くありません。
そんな落ち着かない日々の中で、貧困者に奉仕活動をしてダンボール生活の時に顔見知りになっていた
修道女シスター・クリスティナ(アガタ・ブゼク)と深く心を通わせていきます。
でも、彼が特に心配していたある少女の行方が判明した時、彼の行動はもっと激しくなっていきました。
せめて、最後まで主人公の心が正義を持ち続けていたことが救いでした。
ジェイソン・ステイサムは寡黙な男が似合うので、こういうハードボイルドなキャラクターも良かったです。
観終わった後、監督さんの経歴を見て『イースタン・プロミス』の脚本家さんでしたかと納得した1本です。
監督:スティーヴン・ナイト 出演:ジェイソン・ステイサム アガタ・ブゼク ビッキー・マクルア ベネディクト・ウォン ジャー・ライアン デビッド・ブラッドリー
2012年 イギリス 原題:HUMMINGBIRD/REDEMPTION
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公式サイトはこちらへ http://www.hummingbird-movie.jp/