プロミスト・ランド

ガス・ヴァン・サント監督＆マット・デイモン主演の社会派ドラマです。
予告編を見て、ガス開発の影で何があったのだろうと気になっていました。
人々の心をじっくりと映し出しながら展開される物語に、何となく街の人々と一緒になって
主人公の言葉を聞いてしまうような作品でした。

スティーヴ・バトラー（マット・デイモン）が大手エネルギー会社の部長職への昇進を前に、
農業と酪農が主要産業の小さな町へガス開発の契約を結びに行くところから始まる物語です。
彼の仕事はシェールガスが埋蔵されている町の地主たちから、ガス開発の契約を得て開発出来るようにすること。
彼の話術は巧みで話す相手に好印象を与える上に、実家は契約者たちと同じような田舎の農家でした。
斜陽産業である農業に不安を持つ人々の心を深く理解して掴んでいくスティーヴは、
自分は人々を助けていると思いながら自信とやりがいを持って仕事に臨んでいました。

今回訪れたマッキンリーの町でも、地主たちの感触が良く幸先良いスタートを切り、
パートナーのスー（フランシス・マクドーマンド）も拍子抜けと言うほど気楽な雰囲気でした。
ある日、ハイスクールの体育館に集められた地主たちを前に説明会を開いた時、
一人の地主から予想外の厳しい意見が出ます。
スティーヴの会社で採用している開発技術では、土壌や水質が汚染される可能性があり危険だいうのです。

発言者のフランク・イェーツ（ハル・ホルブルック）は地元の学校で科学の教師をしていますが、
実は有名な大学出身の優秀な学者でもありました。
彼の意見から、ガス開発の賛否を問う住民投票を行うことになってしまいます。
すると、住民投票の噂を嗅ぎつけた環境活動家ダスティン（ジョン・クラシンスキー）がどこからとも無く現れ、
ガス開発の汚染により自分の実家の農業が廃業になったと訴えながらビラをまき始めました。

それにしても、大企業って怖いですね～
上手く契約さえしてしまえば、後は色々な事が起きても何とかなってしまうのです。
でも、自分の仕事を良いことと信じて地主たちと接しているスティーヴは、会社の怖さを全く知りません。
彼は開発によりそれほどの汚染の危険があると知り、ショックを受けます。
そして、自分よりも明るい笑顔で町の人々を惹き付けていくダスティンの存在にイラつきながら、
次第に自分の仕事に不安を抱き始めます。
そして、その先には、彼の心を大きく揺るがす事実が待ち受けていました。

スティーヴの決断によって、この町がどのような未来を歩むのは、まだ分かっていません。
でも、少しでも人々の未来が明るくなればいいなと思いながら観終わった1本です。



監督：ガス・ヴァン・サント　出演：マット・デイモン　ジョン・クラシンスキー　フランシス・マクドーマンド　ローズマリー・デウィット　スクート・マクネイリー　タイタス・ウェリバー　ハル・ホルブルック
2014年　アメリカ　原題：PROMISED LAND
（20140914）

→公式サイトはこちらへ　http://www.promised-land.jp/