葉室麟著の直木賞受賞作を小泉堯史監督が映画化した時代劇です。
予告編を観て、スクリーンに映し出される静かで美しい佇まいに惹かれました。
四季折々の風景と共に、主人公や家族たちの生き様に胸を打たれるような作品でした。
人生の終わりを決めた武士が背負ったものは何だろうと思いながら観ていました。
些細なことから刃傷沙汰を起こした檀野庄三郎(岡田准一)は、家老・中根兵右衛門(串田和美)の差配で
罪を無かったことにする代わりに、ある任務を命じられます。
それは、3年後に切腹することが決まっている武士・戸田秋谷(役所広司)を見張りながら、
彼が編纂している家譜に7年前の事件のことがどのように書かれるのかを調べることです。
檀野は戸田家が幽閉されている農村へと赴きました。
挨拶後に自分の役割を正直に話す檀野に、秋谷も笑顔で迷いの無い自分の心を伝えます。
檀野の存在は、最初は小さな波紋を起こしますけど、次第に戸田家へ馴染んでいきます。
次第に秋谷の人柄に惹かれた檀野は事件そのものに疑問を抱き始めます。
そして、彼が動き始めて事件の真相が明らかになった時、中根家から秋谷に圧力がかかり、
村全体を不穏な空気が包み始めました。
それにしても、役所広司さんと岡田准一さんの存在感は素晴らしいですね。
もちろん、物語も映像も美しくて心を揺さぶられますけど、主人公二人を体現している真っ直ぐな姿勢が
そのまま観ている方の心にも伝わってくるようでした。
また、彼らと共に過ごす家族や村人たちの姿にも、凛とした心の強さを感じました。
一つ一つのシーンや台詞が心に残って、観終わった後も、ずっと切なく美しい余韻が心に残りました。
きっとこの先、折につけ何度でも見直してみたくなる作品になるだろうなあと感じた1本です。
監督:小泉堯史 出演:役所広司 岡田准一 堀北真希 原田美枝子 青木崇高 寺島しのぶ 三船史郎 井川比佐志 串田和美
2014年 日本
(20141012)
→
公式サイトはこちらへ http://higurashinoki.jp/