パウリーナ ～第12回ラテンビート映画祭より～

今日も横浜の桜木町でラテンビート映画祭の2作品にチャレンジして来ました！
1本目は「パウリーナ」です。

パウリーナ（ドロレス・フォンシ）は都会での生活をやめて故郷の町へと帰郷して来ました。
故郷で学校教育の中でもお座なりになっている政治学を子供たちにきちんと教えたいと考えたのです。
実家には判事である父が暮らしていて、彼女が輝くキャリアを捨てることには反対しましたけど
最後には彼女の意志を尊重して学校教師になることを認めました。

パウリーナは地元の学校で教師として生徒に向かい始めましたけど、生徒たちは落ち着きません。
連続で学級崩壊状態になってしまいます。
落ち込んだ彼女を同僚の女性が家へ誘い、楽しい飲み会を開いてくれました。
でも、その帰り道、彼女は5人組の男たちに襲われてしまいました。

必要な検査や薬を貰い、警察で被害届を出し、しばらく休暇を取った彼女は間も無く仕事を再開しました。
何回か授業を行った彼女は、生徒たちの中に犯人の一部がいることを感じます。
また、近所の女性たちの噂により、集団を率いるリーダーが製剤所に勤めている男だと知ります。
リーダーが主犯だと理解したパウリーナは、一人でその男へ話をしたいと直談判しに行きました。

それにしても、パウリーナは凄い人ですね。
酷い事件の被害者ですけど、パウリーナの堂々とした姿を見ると、心の強さが伝わってきます。
心身ともに傷付けられて泣き明かしたり、どうしようか考えられなくて悩む姿もあるのですけど、
彼女は決して逃げたりしません。
犯人と戦うという感じではなく、事件の全てを知って自分の心を決めたいという意志の強さなのです。

なので、被害届を取り下げた時も、事件の結果に妊娠した子供を産もうと決めたことも、
他人には全く理解できません。
実は見ている私にもあまり理解できないかもと思ったりもします。
ただ、彼女が犯人の心を知りたいという気持ちは理解できました。

パウリーナと違って映画を観ている者は、今回の犯罪が無差別ではなくて
愛憎の裏返しともいえる怒りと不幸な人違いから起きたと解っています。
そのことをパウリーナが知った時、改めて未来を考えるのかも知れないと感じました。

観終った時、彼女の強さがいつか彼女を幸せにしてくれますようにと願わずにはいられなかった1本です。



監督：サンティアゴ・ミトレ　出演：ドロレス・フォンシ　オスカル・マルティネス　エステバン・ラモチェ
2015年　アルゼンチン/ブラジル/フランス　原題：La Patota

→ラテンビート映画祭の公式サイトはこちらへ　http://lbff.jp/film.html