人の思惑で動かされる仕組みって落とし穴みたいだなあと思ってしまいました。
2005年のこと。マイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は現在の好調な経済状況をバブルと認識し、
その原動力となっているサブプライムローンがとても危険なものであることに気付きます。
バブルの破綻は近いと確信した彼は、投資家である彼の顧客たちにそのことを伝えますが、
バブルに沸いている現状とサブプライムローン証券の信用格付けの高さから彼の言葉を全く信じません。
悩んだ彼は、サブプライムローンの破綻を前提とした取引を計画し、実行に移しました。
マイケルはサブプライムローン証券の価値が下がった時に損失額の補塡を受ける契約をして
証券の空売りをします。
こんな契約をするマイケルにサブプライムローンの安泰を信じている証券会社は笑いが止まらず、
顧客たちは金を返せと怒ります。
でも、彼はその信念を曲げることはありません。
そして、そんな空売りの噂を聞いた男たちの中に、密かに同じ結論に達したトレーダーたちがいました。
それにしても、このリーマンショックってどんな思惑で起きてしまったのでしょうね。
そんな疑問への答えが散りばめられているような作品が、エンターテイメントとして創られることが
何だかさすがだなあと思いました。
スクリーンから観客へ語りかけたり、時にはサービスショットを織り交ぜて解説したり、
観ている者を飽きさせない工夫をしながら描かれていく展開が面白かったです。
正直、全くこういう世界に疎い私には、空売りって何?とか根本的な疑問があったりもしましたけど、
要は下がらないと信じられている証券を主人公のマイケルだけが下がると言い続けていたということです。
しかも、次第に同じ結論に達した者が出てくるほど危うさが浮き彫りになってきても大勢がその好調を信じ、
信用格付けまでもが下がらないと言う奇妙な状況に陥っていきます。
改めてこの状況を見ると、こんな世界に頼って動いている経済って怖いなあと思ってしまいました(-_-)
リーマンショック直後の社内の風景と家を失った人々の姿が印象に残りました。
観終った時、エンドロール後の言葉に嫌だなあとつぶやいてしまった1本です。
監督:アダム・マッケイ 出演:クリスチャン・ベール スティーブ・カレル ライアン・ゴズリング ブラッド・ピット マリサ・トメイ ジョン・マガロ フィン・ウィットロック ジェレミー・ストロング
2015年 アメリカ 原題:THE BIG SHORT
(20160309)
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公式サイトはこちらへ http://www.moneyshort.jp/