ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

20世紀初めに活躍した若き作家と名編集者の友情をジュード・ロウ＆コリン・ファース主演で描いた作品です。
予告編を観て、この二人がどんな友情の姿を見せてくれるのだろうと気になっていました。
二人の出会いから描かれる物語は、1冊の本を創ることにかける男たちの姿を静かに映し出していきました。

コリン・ファースとジュード・ロウの並んだ姿が観られてちょっと嬉しかったです。

数多くの名作に携わった編集者マックスウェル・パーキンズ（コリン・ファース）のもとに
無名の作家の原稿が持ち込まれました。
多くの出版社から断られた原稿を知り合いに頼まれて持ち込んだ同僚に、彼は読んでおくと答えます。
帰りの電車の中でじっくりと読み始めたパーキンズは、多彩な言葉が描き出そうとしている世界に惹かれました。

翌日、パーキンズのもとにトマス・ウルフ（ジュード・ロウ）が訪ねて来ました。
断られると思っていた彼は、名編集者に逢ってみたかったと言い訳をしながら口早に挨拶をします。
そんな作家の姿を見つめながらパーキンズの下した答えは本にしようというものでした。

それにしても、運命のような二人の友情でした。
静かに黙々と仕事をこなすパーキンズと感情の起伏が激しいウルフ。
二人の年齢は離れていて、親子のような親密な関係を築いていきます。
天才と言われた作家トマス・ウルフの輝くような熱意との職人のような編集の力は
永遠に残る名作を作り上げて行きました。

でも、2作目を出版したところで、ウルフの心がパーキンズからゆっくりと離れて行きます。
本はウルフの才能とパーキンズの献身的とも言える友情によって出来上がりました。
ウルフもそれは良く分かっているのですけど、自分の本をパーキンズのおかげと言われるのは辛かったのです。
そして、心を整理するために一人旅に出た彼を襲う運命はあまりにも過酷でした。

どこにいてもずっと帽子を被っているパーキンズが帽子を外した瞬間が印象的でした。
観終った時、切ない気持ちで胸がいっぱいになったと同時に、
この二人の共演をまた観てみたいなあと思った1本です。



監督：マイケル・グランデージ　出演：コリン・ファース　ジュード・ロウ　ニコール・キッドマン　ローラ・リニー　ガイ・ピアース　ドミニク・ウェスト
2015年　イギリス　原題：GENIUS
（20161003）

→公式サイトはこちらへ　http://best-seller.jp/

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は10月7日より先行上映、10月14日より全国上映の予定です。