主人公の運命に立ち向かおうという気持ちがじわじわと伝わって来ました。
田舎町のハープサルに着いた列車から一人の男が降りてくるところから始まる物語です。
その男エンデル(マルト・アヴァンディ)は都会の大学を出たフェンシングの元スター選手でしたが、
何故かこの小さな町にある小学校の体育教師になろうとしていました。
小学校の校長はとりあえずエンデルを受け入れますが、どうも彼のことを気に入りません。
体操クラブの活動をしろと命令する反面、エンデルが倉庫の奥から見つけて修理したスキー道具を
スキー教室を開こうとした矢先に全て勝手に軍へ寄付するなど、あからさまな意地悪を仕掛けてきます。
でもスターリン政権下の社会では、校長は絶対的な権力を持ち逆らえない人です。
苛立ちを胸に密かに持ち込んでいた自分のフェンシングの剣を手に突きの練習をしていたところ
体育館の入り口から、小さな女の子マルタ(リーサ・コッペル)が興味深そうに見つめていました。
それにしても、じわじわと勇気の心が伝わってくる作品でした。
秘密警察が権力を持ち、次々と罪無き人を強制収容所送りにしていた時代です。
人々は監視の目を恐れ、目立たないように息を潜めながら生活するしかありませんでした。
そんな雰囲気の中で始められたフェンシング教室は、町の人々に波紋を起こします。
また、子供が苦手でどう向き合って良いか分からなかったエンデルにも変化が起きてきます。
初めは不参加と行っていたフェンシングの大会に、子供たちと一緒に向かおうと思い始めるのです。
挫けそうになりながらも、みんなの気持ちが強くなって行く展開にちょっとドキドキしました。
身の危険を犯して参加したレニングラードでの大会は、初めての公式戦に臨んだ子供たちだけでなく
エンデルの心も強くしていきました。
観終った時、現状に立ち向かおうとしたエンデルだからこそ、人生を全うできたのだろうなと感じた1本です。
監督:クラウス・ハロ 出演:マルト・アヴァンディ ウルスラ・ラタセップ リーサ・コッペル ヨーナス・コッフ レンビット・ウルフサク
2015年 フィンランド/エストニア/ドイツ 原題:THE FENCER
(20161228)
→
公式サイトはこちらへ http://kokoronikenshi.jp/追伸
今年の映画はこれで終了です。最後に素敵な作品に出会えて良かったです(^^)
今年もたくさんのご訪問をありがとうございましたm(__)m
今年観た作品は191本でしたが、ブログに載せられた作品は130本余り… かなり少なかったです…
来年はもう少しちゃんと書けるように頑張りたいです。
来年もどうぞよろしくお願いいたします☆