自動車修理工をしているヴェイヨ(マッティ・オンニスマー)は、裏家業でペットの安楽死を請け負っています。
彼は連れられてきたペットを見てどんな状態かを即座に理解し、納得した後に安楽死を施します。
小さい動物は、排気ガスを引き込んだ車の中にペットを置き、音楽を掛けた状態でエンジンを掛けます。
中型以上の大きさの動物は、森の中へ連れて行って、拳銃で即死させます。
どちらも、一番痛みを感じさせない方法にと考えていました。
ただし、引き受けるにしても依頼人によって値段が違ってきます。
例えばアパートに独り暮らしをしていた女性が年老いて病気になった猫を持ち込んだ時は
自分の慰めになっていた猫を可愛がっていたことを理解して無料で引き受けました。
一方、あまり可愛がらずペットの犬を粗末にしてきた男には、無料にする変わりに罰として
処理が終わるまで犬のかごに閉じ込めて、男を戒めました。
ヴェイヨにとって、ペット安楽死を請け負うのは、その動物を苦しみから解放するためであって
決して飼い主のためではないのです。
ある日、ある犬が病気ではなく、ただ避妊に金がかかるという理由で、彼のもとへ連れられて来ました。
連れてきた男に返しても処置無しと思った彼は、高額な金を要求してその犬を引き受けます。
でも、罪の無い犬を見ると彼にはどうしても処分することが出来ません。
そして、その犬に別の名前を付けて自分が飼うことにしました。
それにしても、不思議な男の物語でした。
70~80年代の映画のファンという監督さんがハードボイルドな主人公に動物をからませて作り上げた
物語だそうです。
確かにこの主人公は一匹狼のような毅然としたキャラクターです。
自分の方針に則って行動するので、時には常軌を逸します。
例えばキャッチ&リリースをするスポーツの釣りへ行くために車のオイル交換を頼んできた客に
魚を傷付けて写真を撮って楽しむのかと怒りを爆発させて、相手をボコボコにして写メを撮ったりしています。
このシーンは、気持ちは分かるけどちょっとダメでしょと思ってしまいました^_^;
彼は何かを傷付けたら、カルマとしてそれが自分に帰ってくると信じているのです。
途中の父親への仕打ちやラストの衝撃的な行動もそう考えると、なるほど…と思ってしまいました。
途中から、この主人公はペットの必殺仕置人みたいだなと感じてしまいました。
観終った時、いや~ハードボイルドだったなあとしみじみと思った1本です。
監督:テーム・ニッキ 出演:マッティ・オンニスマー ハンナマイヤ・ニカンデル ヤリ・ヴィルマン ヘイッキ・ノウシアイネン ピヒラ・ペンティネン
2017年 フィンランド 原題:Euthanizer /Armomurhaaja
(20171104)
→
フィンランド映画祭2017のサイトはこちらへ http://eiga.ne.jp/finland-film-festival/→
東京国際映画祭のサイトはこちらへ http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=5追伸
『ペット安楽死請負人』は見事、第30回東京国際映画祭の最優秀脚本賞を受賞しました!おめでとうございます☆