この10~11月の時期は仕事の多忙さと映画祭で、つい普通の公開作を見逃してしまいます。
でも、見逃したくない!と思っていたのが、ジェシカ・チャステイン主演のこの1本。
期待通りの重厚な面白さで、最後まで引き付けられる作品でした。
大手のロビー活動専門会社に所属するエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は
社内でも指折りの成績を誇るロビイストです。
今もパーム油に関する案件をチームで手がけていて、最後の仕上げまで近付いていました。
その時、上司から銃規制法案を廃案にすると言う案件を持ちかけられます。
銃擁護派団体の代表から、女性票を取り込む手段を構築して欲しいと言われたスローンは
自分は銃規制に賛成だと明言して依頼を断ります。
そんな中、彼女に声を掛けてきたのは、銃規制法案を支持する小さな会社のCEO
シュミット(マーク・ストロング)でした。
それにしても、スローンって隙を見せない女性ですね。
言動だけでなく、服装、表情まですべてが計算されています。
そういう意味ではとても強い。隙を見せたら敵に突かれてしまう世界ならではこその生き方ですね。
その分、この人には過去に何があったのだろうと気になりますけど、明確な答えは出て来ません。
子供の頃からこういう生き方をせざるを得なかったという台詞があるだけです。
今作の焦点となる銃規制についても、銃の被害を受けた過去があるのは助手のエズメです。
では、この銃規制への情熱はどこから来るのだろうと思っていたのですけど、
銃への想いというよりは、自分の案件が勝利することへの強い執念のようです。
そのためにはどんな代償も厭わないし、利用できるものは全て利用する。誰が傷付こうとも。
逆に利用できるものを利用しないのは罪と言うほどの徹底ぶりです。
その根性は凄まじいなと感じました。
自分が他人をどれだけ傷付けても、そして自分がどれほど傷付いても、
自分にはこの道しか生きるすべは無いと言い切る姿が印象的でした。
観終った時、やっぱりこの性格がどんなふうに形成されたのか子供時代を知りたいなあと感じた1本です。
監督:ジョン・マッデン 出演:ジェシカ・チャステイン マーク・ストロング ググ・バサ=ロー アリソン・ピル マイケル・スタールバーグ サム・ウォーターストン ジョン・リスゴー
2016年 アメリカ 原題:MISS SLOANE
(20171111)
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公式サイトはこちらへ http://miss-sloane.jp/