スリランカ人の父とドイツ人の母を持つサリヤ(コスティア・ウルマン)は優秀で一家の希望を担う長男です。
でも突然、彼の目に異変が起き始めます。
病院の診察を受けると、彼の目は先天性の病により網膜も視神経も厳しい状態になっていました。
手術後も残された視力は5%ほどで、ぼんやりとした世界ではうっすらと形や色が判る程度です。
サリヤに大きな期待を寄せていた父は現状に怒り、息子を見向きもしなくなりました。
それでも、サリヤは努力と持ち前の優秀さで必死に勉強し、盲学校へは進まずに普通高校を卒業します。
そして、子供の頃からの夢だったホテルマンの道を目指すと家族に宣言しました。
それにしても、人の温かさというような人情を感じるような作品でした。
もちろん、主人公サリーの記憶力は計り知れないほどで、天才的に感じるほど。
それは絶え間無い努力の賜物に他ありません。
目の見えない分、聴覚などの感覚を研ぎ澄まし、記憶を頼りにホテル内の仕事をこなして行きます。
しかも、視力のことが周りにバレたらクビになると、目のことを隠し続けたままです。
でも、やっぱり彼だけでは何も出来ません。
彼の事情を知って協力してくれる親友マックス(ヤコブ・マッチェンツ)の存在が大きいですね。
マックスはサリヤの予習にとことん付き合ってくれます。
ここから○歩で右に曲がって○歩などの基本の行動から、カクテルの作り方や食器の置き方などの
専門的なものまで、新しい部門の研修に入るたびに、一緒に予習をしてくれるのです。
また、一緒に働いていれば彼の異変はやっぱり気付くもので、特に調理場のスタッフたちは
彼へ肉の裁断機の仕組みを詳しく教えてくれるなど、一人前になれるように目を掛けてくれます。
そんな、サリヤの努力を認めてくれた人たちの心遣いが温かくてほっとしました。
途中、サリヤの父親の酷い仕打ちや、それを乗り越えるためにサリヤ自身が壊れてしまいそうになるなど
辛い展開もありましたけど、それでも支えてくれた友情には胸が熱くなりました。
観終った時、こういう状況を乗り越えた人が実在したのだなあとしみじみと思った1本です。
監督:マルク・ローテムント 出演:コスティア・ウルマン ヤコブ・マッチェンツ アンナ・マリア・ミューエ ヨハン・フォン・ビューロー ジェラルド・アレクサンダー・ヘルト
2017年 ドイツ 原題:MEIN BLIND DATE MIT DEM LEBEN
(20180213)
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