無声映画が上映されていた頃の映画館には映画を解説する活動弁士(カツベン)がいました。
観客たちはスクリーンの傍らにいる弁士の語りで盛り上がっていきます。
映画館の人気は映画のタイトルだけでなくカツベンの人気にも左右される時代でした。
少年の頃から弁士に憧れていた染谷俊太郎(成田凌)は夢を叶えてスクリーンの前に立っていました。
ただし、彼は泥棒一味の片棒を担ぐ形で、人気弁士の偽者にさせられていたのです。
染谷は弁士をしながらも、悪い集団から抜けられなくなっている自分の状況を憂いていました。
そんなある日のこと。盗み中の仲間たちが村人に見つかり、警察に追いかけられてしまいます。
一味が慌ててトラックで逃げ出した時、染谷はトラックの荷台から落ちてしまいます。
彼と一緒に、ボスの安田(音尾琢真)が集金していた金の詰まったトランクも落ちました。
そして、彼はそのままこっそり身を隠すと必死に逃げ出しました。
それにしても、期待を裏切らない楽しさですね♪
今からおよそ100年前の映画はこんなふうに人々に深く愛されていたのかと改めて感じました。
スクリーンの前でわくわくしている人々の姿に思わずにっこりしてしまいました。
田舎の村では村中の人が集まってしまうほどの娯楽だったのですね。
また、活動弁士の活躍ぶりを観られるのも楽しかったです。
同じ映画でも活動弁士の上手さで面白さがこんなに変わるのかとびっくりしました。
映画を生かすのも殺すのも、彼らの能力だったのですね。
映画の上演シーンはスクリーンの観客と一緒にワクワクしながら楽しみました(^^)
そんな活動弁士役の成田凌さんや永瀬正敏さん、高良健吾さんの語りの上手さも格別でした。
特訓をしたとは言え、こんなにしゃべれるようになるなんて役者さんは凄いですね。
特に主人公の最期の語りは成田さんがアドリブで演じたそうです。
それを聞いてから映画を観たので、シーンを観た時には鳥肌が立ちました。
周防監督おなじみの俳優陣も揃っていて、笑いどころもたくさんありました。
久々に劇場中が笑いであふれるという状況が体感出来て嬉しかったです。
観終わった時、劇場公開が始まったらもう一度観に行きたいかもと感じた1本です。
監督:周防正行 出演:成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 井上真央 音尾琢真 竹中直人 渡辺えり 小日向文世 竹野内豊
2019年 日本
(20191031)
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公式サイトはこちらへ http://www.katsuben.jp/追伸
この映画は東京国際映画祭で観ました。公開は12月13日以降の予定です。