1968年メキシコオリンピックのボクシングで銅メダルを取ったボクサー・森岡栄治の人生を描いた作品です。
1960年代の雰囲気をたっぷりと感じさせてくれる作品でした(^^)

お父ちゃん(武田真治)はアホでスケベなダメ親父。
今日も小学生の長女・治子(藤本七海)が同級生を殴ったために学校に呼び出されたのだが
担任の先生を見た途端に「ベッピンさんやなあ」と口説き始めた。
昔はボクサーとしてオリンピックにも出たお父ちゃんだが、プロになってからは網膜剥離で活躍できず、
今は働かずにぶらぶらしているだけ。しかも夜は遊び歩いて浮気し放題。
森岡家の家計は、夜にホステスとして働いているお母ちゃんの頑張りで支えられていた。
でも、お母ちゃんの堪忍袋の緒がとうとう切れて、お母ちゃんは家から出て行ってしまった…

主人公がボクシングと共に歩んだ道は、波乱万丈でハードな人生でした。
ボクサーとして輝かしい栄光を打ち立てつつも、すぐに片目の視力をなくして転落の人生を歩む主人公。
無力から暴力団のボディガードへ。そして、ボクシングジムの雇われトレーナーへ。
少しは人生が上向きになってきたかと思ったら、今度は暴力団の紛争に巻き込まれて一から出直し。
騙されて借金を背負い、兄にも騙されて警察沙汰に。
自分の弱さだけでなく、周りの人間にも振り回されて上手く行かないことばかり起きます。

でも、そんな決して恵まれたとは言えない物語が全体的に明るい雰囲気だったのは
主人公や少女の持つ生来の明るさゆえだったのでしょう。
仕事が無くてどうすると言われても、借金取りに負われても、
主人公が「なんとかなるさ」と言いながら、ひょうひょうとしている様子はユーモアさえ漂っていました。
また、威勢良く啖呵をきっていじめっ子を追い払うような治子ちゃんは元気いっぱいでした。

それにしても、主演の武田真治さんと藤本七海ちゃんはとっても良かったです(^^)
武田真治さんは本当にボクサーとしか見えないような身体に鍛え上げていてカッコ良かったです~
また、物語の語り手となる治子役の藤本七海ちゃんは、本当に明るくて可愛かったです(^^)
ボクサーの人生という男の世界の物語が私にも観やすかったのは、彼女の視線で描かれていたからでしょう。

「誰のためでも無い。自分のためだ。」と言い切った主人公の潔さが印象的だった1本です。

監督:森岡利行 出演:武田真治 藤本七海 紺野まひる 広末涼子
2007年製作 日本
(071020)