主人公の痛々しい姿に、彼女と共に悲しみに沈んでしまいました(T_T)

エリカ・べイン(ジョディ・フォスター)はニューヨークのFM局に勤める人気パーソナリティー。
いつも番組では、彼女がレコーダーで拾った街の音と共に街のスケッチを語っている。
医者の仕事をするデイビットと婚約し、結婚式も間近になってきて幸せいっぱいだった。
しかし、その幸せが突然壊された。公園で3人組の暴漢に襲われたのだ。
デイビットは死に、エリカも瀕死の重傷を負う。
エリカは意識不明の状態が3週間も続き、デイビットの葬式も終わった後に意識を戻す。
しかし、彼女は退院後も街への恐怖とデイビットのいない喪失感に苛まされて
部屋から出ることが出来なかった。
ようやく出かけられるようになった時、彼女がまず初めに向かったのは警察だったが、
捜査状況を聴こうと思って待ち続けても、担当者には会えなかった。
犯人が野放しになっている状況で、安心して暮らすことは出来ない。
彼女が次に向かったのはガンショップだった…

さすがはジョディ・フォスターです!主人公の痛みや辛さがリアルに伝わってきました。

彼女が被害を受けた暴行事件のシーンはハードです~
物語はだいたい分かっているのでここは観たくないなあと思っていたのですけど
あまりの怖さに、つい見入ってしまいました(T_T)
その後の怪我の様子も痛々しくて、ジョディ・フォスターはこういうリアルさが似合うなあと思いました。

自分の身を守りたいと購入した銃。この銃がエリカの生き方を変えていきます。
明るい街の面を見て生きて来た彼女でしたが、已む無く銃で人を殺してしまった後は
まるで犯罪者を探すように暗い場所を見ながら歩くようになっていきます。

そんなエリカは心を触れ合わせる二人の人と出会います。
一人は彼女のラジオ番組を以前から聴いていた刑事。
もう一人は同じアパートに住む黒人の女性です。
彼女に好意を持って親しい友のように接してくれる刑事の真摯な言葉と
内乱に苛まれている国から来たと思われる女性の真実な言葉は
別人のようになった彼女に少しずつ大切なことを感じさせてくれました。
特に女性の「人を殺すと心に空洞が出来てくる」という言葉はエリカの心の深いところに届いていきました。

彼女の事件は一応の終わりになりましたけど、主人公の姿を見ていて
いつしか心に本当の平和が来てくれますようにと願ってしまった1本です。

監督:ニール・ジョーダン 出演:ジョディ・フォスター テレンス・ハワード
2007年製作 アメリカ 原題:THE BRAVE ONE
(071026)