厳重な警戒の中で起きた大統領狙撃事件の真相を、
事件に関わった人々の視線を重ねながら解き明かしていくサスペンスです。
犯人の計画の上手さと、事件の真相を探る謎解きが面白かったです。

スペインのマラサンカには、各国の首脳が集まっていた。
テロ撲滅のために画期的な国際協定が行なわれようとしていたのだ。
式典の行なわれるマヨール広場では、歓迎の市民と反対デモの人々で熱気に溢れていた。
首脳会議の中心となっているアメリカ大統領(ウィリアム・ハート)が挨拶のために壇上へ上がった。
歓喜が湧き上がる中、にこやかに手を上げていた大統領に向かって銃弾が発射されてしまう。
倒れ崩れる大統領を横目に、シークレット・サービスのトーマス・バーンズ(デニス・クエイド)は
事件直後に壇上へ駆け寄ってきた男を捕らえた。
だが、彼は犯人ではないと主張し、危ないから逃げろと叫んだ。
その直後、爆発が起こった…

カメラ映像は人の眼では記憶に残る前に過ぎ去ってしまうような一瞬を鮮明に捕らえます。
生中継をしていたテレビ映像。事件の前から事件発生後まで動いていた観光客のビデオカメラ。
バラバラに見ていたら見えてこないヒントも繋ぎ合わせていくうちに、段々と真相が明らかになっていきます。

同時に映画は、事件に係わり合う人々の11:59から事件発生までの間を
それぞれの視点で繰り返し映していきます。
大統領に向かって発射された銃弾はどこから来たのか?その後の爆発の目的は?
様々な視点から事件を繰り返し見せるうちに、事件に関わる人々の思惑も重なってきて、
深まっていく謎が面白かったです。

主人公が犯人を追い詰めていく謎解きの面白さに加えて、犯人グループの行動計画の上手さも面白かったです。
意外なところに潜んでいる犯人たち。騙されたと思うと同時に、
要所を押さえれば少人数でもこれだけの事が出来るのかと、ちょっとドキドキしながら観ていました。
でも、徹底的な非情さをもって計画を遂行していく犯人グループでさえも、
やはり非情になりきれないところから、少しずつ計画はほころび始めていきます。

それにしても、11:59からの映像を何度も繰り返されるのは、面白けれど少し疲れました(^^ゞ
『メメント』程ではないにしろ、ちゃんと覚えていないとヒントを見逃してしまいそうですし。
しかも肝心なところをなかなか映してくれないので、ちょっとずるいなあと思いながら観ていました(笑)

やっぱりハリウッド映画っぽいなあと思うところもありましたけど、
緊張感溢れる展開には納得の1本です。



監督:ピート・トラヴィス 出演:デニス・クエイド フォレスト・ウィッテカー  マシュー・フォックス
2008年製作 アメリカ 原題:VANTAGE POINT