イラクから帰国した兵士に起きた悲劇を描いたサスペンス・ドラマです。
少しずつ明かされる戦争の狂気の痛みが胸にドーンと来ました(T_T)

元軍曹のハンク(トミー・リー・ジョーンズ)の元に、アメリカ軍基地から
息子マイクの行方について問い合わせの電話が入った。
ハンクが息子はイラクだと答えると、実はもう数日前に帰国していると伝えてきた。
しかも、しかもこのまま失踪していると、逃亡罪になってしまう。
あの真面目な息子が何も言わずに消えるのは変だと感じたハンクは、行方を捜しに基地へ向かった。
宿舎の息子の部屋で手がかりを探すが、何とか手に入れたのは壊れた携帯電話だけ。
データと画像を少しでも取り出そうと専門業者に預けた後、ハンクは地元の警察へと向かった。
だが、それは軍の管轄だと言って取り合ってもらえなかった。
そしてその夜、焼け爛れたバラバラ死体が発見された…

観終わった時、戦争の残酷さにやるせなくなりました(T_T)

行方不明の息子マイクを探しに来たハンク。だが、マイクは焼死体で見つかった。
しかも、刺し傷は40ヶ所以上で、どう考えても尋常な殺人ではない。
そして、犯人を捜すために息子の最後の数時間をたどろうとしたハンクは
少しずつ息子の足取りを掴んでいくうちに、思いがけない真実にたどり着いてしまいます。

キーとなるのは息子の荷物からこっそり持ち出した携帯電話。
その壊れた動画データの中に映し出されているものの真相が分かった時は
本当に背筋が寒くなって来ました。
その戦場を取り続けた動画は父に送っていた写真画像と共に
戦争によって壊されてしまった若者の心の叫び映し出されているようでした。

それにしてもトミー・リー・ジョーンズとシャーリーズ・セロンの演技はさすがでした~
シャーリーズ・セロンの役は地元警察の刑事。
一人息子を育てているシングルマザーで、差別には負けないタフな心を持っています。
秘密を隠そうとする軍の担当官との対決シーンなどを観ていると、
やはりこの人には、こういう折れそうで折れないようなしぶといキャラクターが似合いますね。
また、父親役のトミー・リー・ジョーンズはさすがの存在感で、
静かな演技の中にも苦悩や悲しみなどの心を感じさせてくれました。

この物語が実話を元に作られたのだなあと思うとたまらなくなってしまった1本です。



監督:ポール・ハギス 出演:トミー・リー・ジョーンズ シャーリーズ・セロン
2007年 アメリカ 原題:IN THE VALLEY OF ELAH
(080611)

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は6月28日以降の予定です。