インドの売春窟に生まれた子どもたちを追ったドキュメンタリーです。
子どもたちの未来を希望へ導こうとする女性フォトグラファーの頑張る姿と
不安定ながらも新しい道を歩こうとする子どもたちの笑顔が印象的でした。

売春窟という犯罪と隣り合わせの暮らしの中で、貧しくても親に理不尽な扱いをされても
そこで暮らしていかなくてはならない子どもたちが大勢います。
彼らは学校へ行くことも無く、僅かなお金のために労働を強いられながら日々を送っています。
このままにしておくと男の子は犯罪に手を染め、女の子は売春への道を歩んでしまうのは目に見えてます。
そんな売春窟で写真を撮り続けていたフォトグラファーのザナは
そこで出会った子どもたちに写真を教え始めました。

カメラを手にした子どもたちは瞳を輝かせ始め、彼らの視線で真実の写真を撮り始めます。
ザナはその写真の素晴らしさと子どもたちの可能性を感じ、彼らを救うために動き始めます。
彼女はニューヨーク出身の写真家です。
被写体にカメラを向けるには、まずは地域に受け入れられなくてはなりません。
彼女はこの地域で写真を撮り始める数年前からここで暮らしていました。
だからこそ、彼女はここの子供たちをどんなに救おうと頑張ってもその努力は小さく、
また報われる可能性が低いことを知っています。
それでも彼女は子供たちのために写真展を開き、寄宿学校へ入れようと奔走します。

子供たちの中でも特に芸術の才能があった少年は、海外の写真展から招待されました。
手続きに何ヶ月もかけて、出発直前にようやくパスポートを手にした少年は笑顔で初めての海外へ旅立ちます。
初めて見る外国や文化に目を輝かせる彼の姿が印象的でした。
写真展で世界の写真を目にした彼は
「この写真はいいね。悲しいけど現実だから。」と静かに語っていました。

そんな子供たちは冷静に現実を見つめながらも、希望と夢を語ります。
「もしここを抜け出して学校に行けたら、素敵な未来が待っているだろうな」
ちょっと控えめな笑顔で語る少女の言葉が心に残りました。

パンフレットに載っている子供たちの近況を読みながら、ザナの勇気と努力を思いつつ
何ともいえない気持ちになった1本です。



監督:ロス・カウフマン&ザナ・ブリスキ
2004年 アメリカ 原題:BORN INTO BROTHELS: CALCUTTA'S RED LIGHT KIDS
(20081226)