2012年。荒れ果てて閑散とした街を中年の男が無言で進んでいた。
点滴に車椅子という姿の男は、ふと中古レコード店に眼を留める。
彼が店内に入ると、店主は「いらっしゃい」と声をかけた。
店を開いていることに驚く男は、店内で一人の客が音楽を楽しそうに聞いているのを見てさらに驚く。
実は地球に巨大彗星が近付いていて、地球はあと5時間で滅亡してしまうのだ。
地球滅亡のことを捲くし立てる男を無視し、店主と客はパンク談義に花を咲かせていた。
パンクを気に入った客に、店主は別のパンクバンドの曲を薦める。
それは35年前に解散したグループ“逆鱗”の「フィッシュストーリー」だった…
売れないパンクバンドが生み出した曲は未来の希望へと続いていました。
1975年。生まれるのが早すぎて、時代に受け入れられなかったパンクバンド。
でもバンドの仲間たちは、自分たちの曲に込めた想いを真っ直ぐに演奏で伝えようとしました。
1982年。その曲が生み出した出会いが一人の気の弱い若者の人生を変えていきます。
2009年。降り遅れた一人の女子高生が乗っていたフェリーがシージャックされます。
そのフェリーには偶然にも正義の味方になるべく育てられた青年が乗っていました。
2012年。地球には巨大彗星が迫っています。
地球に未来はあるのか。それとも、もう絶望しか残っていないのか…
全体としては、ちょっととぼけた雰囲気のストーリーなのですけど、
登場人物たちの前向きな心意気が気持ちいいです~
プロとして最後の曲をレコーディングし、達成感に自然と笑顔になるバンド仲間。
意気地の無い青年が気力を振り絞って立ち向かった勇気。
そして、正義の味方になるべく育てられた青年の見せた行動力。
彼らの見せた前向きなパワーが、実は世界の運命を動かしていました。
そんなファンタジーな展開が、なんだか“努力はいつか報われる”と語っているようで
ちょっと心地よかったです~
バンド仲間の何気ない語らいのシーンが、ものすごく“青春”という感じに見えて
思わずにっこりしてしまった1本です(^^)
監督:中村義洋 出演:伊藤淳史 濱田岳 森山未來 多部未華子 大森南朋
2009年 日本
(20090330)