1954年。15年の沈黙を経てココ・シャネル(シャーリー・マクレーン)が新作の発表を行なった。
だが、そのコレクションは古臭いと受け入れられず、評価は散々なものだった。
落ち込んだシャネルだったが、彼女は自分の感覚を忘れてはいなかった。
女性の美しさを見せるのはシンプルなデザインが最適だと強く感じたシャネルは
新たなコレクションの発表に取り掛かり始める。
だが、長年のパートナーであるマルク・ボウシエ(マルコム・マクダウェル)は
彼女の事業を売却しようと、有力企業との交渉に取り掛かっていた…
シャーリー・マクレーンの存在感はさすがでした~
18歳までを孤児院で過ごした一人の少女が自分の道を見つけていくまでを描いた物語です。
お針子として働くことになった衣料店での独創性の無い日々。
ブルジョアの世界へと導いてくれた将校エティエンヌ・バルザンとの運命的な出会いと、
帽子のデザインへの関心の深まり。
そして、生涯愛した唯一の人と言われるイギリス人実業家アーサー・カペルとの愛。
彼女は様々な出会いと運命の中で、自分の生き方を見つけていきました。
孤児院出身の彼女には良い家柄も豊かな教養もありません。
でも、女性に必要なのは飾り立てるデザインの服ではなく、
シンプルで美しく機能的であることが大切だと感覚的に理解しています。
そんな彼女のデザインは時代と共に受け入れられて来ました。
特に彼女の人生をデザイナーへと導いたのは、彼女のプライドの高さかも知れません。
バルザンとの暮らしは彼女にとってとても心地良かったと思うのですけど、
どんなに愛していると言葉では言っていても、家族に紹介もしてもらえない立場を悟り、深く傷つきます。
そして、帽子のデザイナーとして自立する道を選びます。
また、互いに愛し合ったカペルからのプロポーズを、自分の仕事が軌道に乗るまでと断ります。
それは女性でも一人で生きていける手段を持っていたいと考えていたのと同時に
やはり彼女のプライドの高さが言わせた言葉だったのかもしれないなと感じました。
それにしても、シャーリー・マクレーンは素敵ですね。
若き日のココ・シャネルを演じたバルボラ・ボブローヴァはキュートでしたけど
晩年のシャネルを演じたシャーリー・マクレーンは
挫折や失敗をものともしない主人公の強さをしっかりと体現していました。
そして主人公の不屈の精神は、彼女の存在感と共にスクリーンに映し出されていました。
観終わった時、大きく変化する時代と共に生きて来た主人公のしなやかな強さと共に
仕事を選ぶしかなかった運命の哀しさをしみじみと感じた1本です。
監督:クリスチャン・デュゲイ 出演:シャーリー・マクレーン バルボラ・ボブローヴァ マルコム・マクダウェル
2008年 アメリカ/イタリア/フランス 原題:COCO CHANEL
(20090911)