ココ・アヴァン・シャネル

今年、フランスで大ヒットしたオドレイ・トトゥ主演のドラマです。
ココ・シャネルを描いた作品はシャーリー・マクレーンに続いて2本目だったので
どんな違いがあるか楽しみにしていました。
ほとんど同じ時代を描いていたのに若い頃の主人公のキャラクターが微妙に違っていて面白かったです。

孤児院で育ったガブリエル（オドレイ・トトゥ）は卒業後、仕立て屋で働きながらナイトクラブで歌を歌っていた。
彼女はパリへ出てもっと有名になりたいと願っていた。
ある日、ようやく掴んだツテで受けたオーディションは全くダメで、彼女は激しく落ち込む。
このままでは自分の人生が終わってしまう。
そう考えたガブリエルは将校エティエンヌ・バルサン（ブノワ・ポールヴールド）の別荘へ
カバンを片手に乗り込んでいった…

フランス版のココ・シャネルはとても逞しかったです～

どんな時代を描くのだろうかと思っていたら、先日観たアメリカ版とほぼ同じで
将校エティエンヌ・バルサンとの出会いからイギリス人実業家アーサー・カペルの死までです。
ただ、違っていたのはガブリエルのハングリー精神が前面に出ているところかも知れません。
アメリカ版ではエティエンヌのアプローチにほだされて別荘へ行ったのですけど、
フランス版は頼まれもしないのに乗り込んでいき、居座ってしまうのです。
そして、次第に自分の独創的な発想と魅力でエティエンヌの愛を勝ち取ります。
そのずうずうしいまでの行動力は観ていて面白かったです。

もうひとつ感じたのは、彼女の独創性のエネルギー源は劣等感や反骨精神かも知れないということです。
彼女はエティエンヌの別荘に住んでいても、彼の客たちとは対等の立場にはなれません。
高い家柄か孤児院の出身かの違いで、エティエンヌの世界には入れないのです。
だからこそ、通常のきらびやかなファッションとは違ってコルセットを使用しない身体に優しく、
機能的で動き易いファッションを作り出していったのだろうと思いました。
これはアメリカ版でも少しずつ描かれていたのですけど、フランス版ではその差別がはっきりと出ていて
これはガブリエルにとってはキツかったろうなあと感じました。

それにしても、アメリカ版の主人公と印象が随分違うのに驚きました。
その強情なまでのパワーは、いつもしかめっ面をしているオドレイ・トトゥの演技に似合っていました。
ガブリエルは籠の中に納まって安定しているような結婚生活よりも
自分の力で地位を獲得しようと突き進みます。
そして、成功したいと願っていたガブリエルが世界に認められた時
彼女はようやくほっと一息を着けたように感じました。

観終わった時、フランス版のシャネルの人生はやっぱりフランスっぽいなあと感じた1本です。



監督：アンヌ・フォンテーヌ　出演：オドレイ・トトゥ　ブノワ・ポールヴールド　アレッサンドロ・ニヴォラ　マリー・ジラン　エマニュエル・ドゥヴォス
2009年　フランス　原題：COCO AVANT CHANEL
（20090916）