1939年9月、不可侵条約を結んだドイツとソ連がポーランドに侵攻してきた。
抵抗できないポーランド軍のうちドイツは兵士を、ソ連は将校をそれぞれ捕虜にした。
ソ連軍によってポーランド軍大尉のアンジェイ(アルトゥル・ジミイェフスキ)を含む多くの将校たちが
駅に集められた時、彼の妻アンナ(マヤ・オスタシェフスカ)が幼い娘と共に駅にたどり着いた。
アンナはこの混乱の中なら、制服を着替えてしまえば何とか夫を救い出せると考えたのだ。
だが、軍に忠誠を誓ったアンジェイは脱走を潔いとせず、アンナの誘いを断る。
夫を説得できなかったアンナは貨物列車に詰め込まれていくアンジェイを涙ながらに見送った…
明らかになった事実は本当に残酷でした(T_T)
長年タブーとされてきた“カティンの森”事件を、実際に残された日記や手帳を元に再現した作品です。
監督のお父さんも将校としてこの事件で亡くなったそうです。
監督は真実を知ってから長い間映画化を切望し、2007年にようやく実現しました。
物語は多くの人の目を通して綴られています。
捕虜となって連れ去られた夫の無事を祈る妻とその家族。
反抗的な思想を与えたと言われ、大学から直接収容所送りになった教授の帰りを待つ妻。
将校の妻という理由だけで収容所送りへと連行されていく女性たち。
侵略の中で無抵抗のまま連れ去られていく哀しみの表情が
無慈悲な死の予感と共に次々と映し出されていきました。
そして第二次世界大戦が終わっても、“カティンの森”事件は禍根となっていきます。
ポーランドの人々にとっては、この事件をソ連が起こしたということは周知の事実です。
でも、事実上ポーランドを支配し続けたソ連にとって、それは触れられたくない事実です。
ソ連はドイツが起こした事件だという主張を広めようとします。
そして、その主張を受け入れない人々は戦争中と同じように逮捕されていきました。
カティンの森で次々と射殺されていく兵士たちとその死体の山の映像は忘れられないものになりました。
でも、観ているのは辛かったですけど、やっぱり頑張って観て良かったです。
監督の“両親に捧げる”という想いが心に響いてきた1本です。
監督:アンジェイ・ワイダ 出演:マヤ・オスタシェフスカ アルトゥル・ジミイェフスキ アンジェイ・ヒラ ダヌタ・ステンカ マヤ・コモロフスカ ヴワディスワフ・コヴァルスキ
2007年 ポーランド 原題:KATYN
(20091116)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は12月5日以降の予定です。